泉・明石市長の「暴言」は一体何がマズかったのか 同じく職員とやりあった橋下徹・元大阪市長との違い
「どうか明石を見捨てないでください」
「まだまだ泉市長の力が必要です」
「この子が大人になるまで市長でいてください」
ツイッターには嘆願とも思われるコメントが相次いだ。
10月12日、兵庫県明石市の市議会では、市議に「次の選挙で落としてやる」などの暴言を吐いたとして、泉房穂・明石市長への問責決議が可決した。その直後の会見で泉市長は「暴言を吐いたのは事実で言い訳をする気もない。責任を取り来年春の任期で市長を辞める。他の選挙にも出ません。政治家も辞める」と表明した。
市民から高評価の一方、議会や職員との軋轢は絶えず
泉市長といえば、手厚い子育て支援策を実現させ、少子高齢化で人口減少に悩む自治体が多い中、明石市の人口を増加に転じさせるなど、その政治的手腕は市民だけでなく、他府県にまで高く評価されてきた。ツイッターに書き込まれた泉市長の引退を惜しむ明石市内外からの声の多さからもその人気ぶりがうかがえる。
しかしその一方で、手順を無視した強権的な政策の進め方や、内部関係者などへの厳しい対応で、常に議会や職員との軋轢は絶えなかった。そして、その時々で出る彼の「暴言」が、これまで何度も取り上げられている。
2017年6月14日には、明石駅付近の国道拡張工事に必要な立ち退きのための土地買収交渉の進捗の遅さに、担当職員に対して「火つけて捕まってこい。お前、燃やしてしまえ」などの暴言を吐いた。2019年になって報道機関にこの時のやりとりの録音データが渡ったため、泉市長は謝罪会見を行った。この時も、責任をとるとして明石市議会に辞職願を提出したが、市民からの強い再出馬要請もあり、その後の2019年3月の出直し選挙で3回目の当選を果すなど、市民の支持に助けられて今日に至っている。
ただ、この時の辞任を機に、泉市長は自らの怒りやすい性格を反省してか、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」の講習を受けたと言っている。アンガーマネジメントとは、アンガー(怒り)をコントロールして、怒りをうまく抑え、円滑な人間関係と相互理解をマネジメントすることで、近年民間企業でも注目されているハラスメント防止のための危機管理のひとつである。
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