一文無し帰国も「海外就職」のそう甘くない現実 「駆け出しエンジニアの就職」明暗を分けるもの
──ただ、最近は渡航しても就職できずに帰国する人も多いとのこと。何が起きているのでしょうか?
業界未経験や、経験浅めの層に関して言えば、海外就職してどうなりたいのか、何がしたいのか、曖昧なまま渡航してしまう人が増えていることを実感しています。
例えるなら、「球技で世界とるぞ~」くらいの感覚で海外に出ていくものの、球技といっても野球、サッカー、バレー、バスケ……いろいろあるじゃないですか。
「こんなはずじゃなかった」となる人は、具体的な競技も、具体的な目標も決めないまま、「勢いで海外に来ちゃいました」みたいなパターンの人が多いですね。
また、「Frog」にも、「海外に行ったはいいけれど、思っていたのと違うことを学ぶことになってしまった」「就職できず一文無しになって帰国しなければいけない」というような緊急の相談が後を絶たない状況です。
そこで、そのような現状を受けて、先日は海外で就労経験のあるエンジニアを集めて「未経験の海外挑戦を考える会」を開催しました。
──海外就職の目的が定まらないまま、勢いで来てしまう人が多いと。
海外就職に関心を寄せる人自体が増えてきた中で、それと比例するように、“何となく層”も増えたのでしょう。
とくに今は、SNSなどでエンジニアの海外就職や年収・キャリアアップの成功エピソードが拡散されがちなので、いい面だけを見てしまう。
それに、失敗談や「行ってみたけれど海外は合わなかった」という人の声はあまり外に出てきません。そういう意味で、得られる情報に偏りが出てしまいがちです。
海外就職は「こんなはずじゃなかった」ことだらけ
──では、Sennaさんの元にはどんな失敗談が寄せられているのでしょうか?
例えば、こんな人がいました。
海外に行ってから3カ月間は語学学校に通い、次の3カ月間でプログラミングを学んだ。そこから就職活動をしたものの、慣れない英語での就活に苦戦し、さらに3カ月が経ってしまった。
就職のアテも見つからないし、ビザもおりない。あと3カ月以内に帰国しなきゃいけない、いったいどうすれば……。と、こんなふうに、八方ふさがりの状況に追い込まれてしまったのです。
──そうならないためには、やはり目的を明確にすることが大事ということですよね?
そうなんです。あとは、「語学学校だけなら、観光ビザでも通える」みたいな情報も、渡航後のビジョンにあわせて収集しておくことができます。
また、北米圏の就活は、その企業が採用をかけているポジションにマッチするスキルがあるかどうかが重視されます。
いわゆるジョブ型の会社がほとんどなので、必要なスキルセットが明確にあるケースがほとんど。それと自分のスキルが合うかどうかが判断基準です。
だからこそ、自分がどのような会社に就職したいのか、そこでどんな仕事をしたいのかをあらかじめ決めておき、それに必要なスキルがなければスクールに通うなどして習得しなければいけません。