一文無し帰国も「海外就職」のそう甘くない現実 「駆け出しエンジニアの就職」明暗を分けるもの
──目的に合わせた下調べをすることで、失敗する確率を下げるわけですね。
はい。ただ、ここまで下調べをしても、「こんなはずじゃなかった」は依然として生じる可能性があります。初めての海外生活は、多かれ少なかれ「こんなはずじゃなかった」の連続だからです。
例えば住居にしたって、よほどの財力がなければ物価の高いバンクーバーで一人暮らしは無理。ルームシェアをしたり、郊外にある安いアパートメントを探したりする必要があります。
慣れない生活の中で、カルチャーギャップやストレスを感じる可能性はどんな人でも十分あると思いますよ。
給料アップは「実力」と「交渉力」次第
──仮に、駆け出しの若手エンジニアが北米圏の会社で就職ができたとして、「すぐに年収1000万になれた」というようなことは起こり得るのでしょうか?
チャンスはあるけれど、実現できるかどうかは自分次第ですね。「海外に行きさえすればホワイトな環境で働けて、自動的に高年収が得られる」なんてことはありません。
やはり、ある程度は英語力が必要だし、ジョブディスクリプションに応じて業務を遂行し、成果を出す必要がある。
さらに、日本の企業のように自動的に給料が上がっていくこともありませんから、会社との交渉も大事な要素になってきます。
──交渉ですか?
はい。北米の企業で働くエンジニアの多くは、転職を重ねて年収を上げていきます。そのときに、転職先の企業と交渉し、今の年収よりも上げてもうらことが多いんですよ。
それで、内定をもらったA社からはこれくらいの年収を提示されているけれど、どうか。という話を今の会社に提示し、それ以上を払えるのかどうか交渉する。それで今いる会社が「もっと出すよ」ということであればそこに残る……というような感じ。
いずれにしても、エンジニア本人が交渉していかないと、年収は勝手には上がらないとは思いますね。