東京のドヤ街「山谷」男達が写真を撮り続ける訳 写真部に集まる男性達が抱えるさまざまな事情
今年9月からは新たに仕事が見つかり、終業後に写真を撮っている。
「夜の景色が好きなんですよね。何を撮ろうかなと考えるときがいちばん楽しい。遊び心ある写真を撮りたいと思っています」(コウジさん)
初期メンバー、ミサオさんのあゆみ
2016年から初期メンバーとして活動しているミサオさん(60代)は、1996年から仕事の関係で山谷に出入りしていた。知人に声をかけられて山友会につながり、ボランティア活動に参加。写真部は「おもしろそう」と感じ、立ち上げメンバーに加わった。
彼もまた順風満帆な生活を送っていたわけではない。路上生活をしていたことや、生活保護を受ける際に「戸籍が汚されている」と驚くべき事実を告げられたこともあった。
「戸籍があちこち動かされていたり、養子縁組に使われたりしていることがわかったんです。心当たりとしては、以前、勤務先で緊急連絡先として実家の住所等を書いたこと。法テラスに相談していますが、まだ手続きに時間がかかると聞いています」(ミサオさん)
「古いものが好き」と話すミサオさんがこれまで撮影した作品集には、『ビリーパック』(河島光広/少年画報社)など昭和中期に刊行された漫画本や、数枚の猫の写真が並ぶ。
「毎朝、買い物がてら散歩に出かけるんですけど、いつもこの猫がいたんですよ。最近は見なくなってしまったんですけど……」(ミサオさん)