GAFAM「生んだ米」「生めなかった日本」の決定差 バブル崩壊後、積極的な産業育成が行われず

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また、Googleが開発したスマートフォン向けOSであるAndroidの世界シェアはなんと75%。インターネットの入口をGoogleが独占していると言っても過言ではないでしょう。

もう1つの要素が「ビッグデータ」。安価で便利なGoogleなどのサービスをユーザーが使えば使うほど、GAFAM側にはデータが溜まっていきます。ユーザーの行動や嗜好、お金の動きに関するデータを分析することで、有利な条件で新たなビジネスを生み出すことができるのです。これが「データを制するものがビジネスを制す」と言われる所以です。

GAFAMが変えた世界の価値

GAFAMの誕生は、企業価値に対する考え方を大きく変えました。企業の価値をはかる手段はさまざまですが、GAFAMの登場によって、現在の利益がどうであるかよりも“将来どれだけ成長が期待できるか”が株価を動かすようになったのです。

例えばAmazonは、最近になってようやく利益を計上するようになったのですが、赤字が続いていた頃から株価は継続的な上昇を見せてきました。

この背景についてAmazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏は「利益を出すことは簡単だが、愚かなことでもある。我々はいまの事業で稼いだ利益を未来に再投資している」という趣旨の発言をしています。足元の赤字は意図的なものであり、将来利益を上げるための布石だとして、多くの投資家を納得させ続けてきた結果と言えそうです。

絶好調に見えるGAFAMですが、一方では先行きへの不安もいくつか抱えています。その1つは「個人情報保護」に関する問題。GAFAMなどのプラットフォーマーは、事業を運営する中で膨大な個人情報を蓄えています。大規模な情報漏洩が起きた場合の被害は甚大になるであろうことが予想されます。そのため、各国はプラットフォーマーの情報取得方法やデータの管理体制についての規制を強めており、その対応コストが今後の業績に悪影響を与える可能性も指摘されています。

実際に旧Facebookが2019年に個人情報の不適切な取り扱いを巡って50億ドルの制裁金を課されるなど、経営上無視できないリスクとなりつつあります。

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