業者は見た!「タワマン」の悲惨なリフォーム現場 マンション管理組合が責任を問われる可能性も

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【CASE:5】リノベーション済み物件に入居後の苦情に困惑

これまでの4例とは異なり、すでにリノベーションされた物件を購入し、トラブルとなったのが5つめのケースとなる。入居者自らが施工を希望したわけではないのに、階下の複数の住人から騒音苦情が相次いだのだ。騒音の理由は、新しく取り付けたドアの建具が原因だった。リノベーションの際に重量のある建具を取り付けたため、階下に重い音が響くようになったのだという。

買い主が売り主の不動産会社に相談したところ、「工事申請して承諾済みだから」との理由でこれといった対応もしてもらえないとのこと。買い主(入居者)が困惑の表情を浮かべていたのが印象に残っている。

リノベーション済みの物件を購入する際は、入居後にリノベーションが原因でトラブルがあった際、売り主の対応についての記載があるかどうかを確認しておきたい。契約書や重要事項説明書に記載されている内容次第で、交渉もスムーズになる可能性がある。

専有部分でも勝手なリフォーム・リノベはできない

そもそもマンションは専有部であっても、勝手にリフォーム・リノベーションを施すことはできない点は【CASE:2】でもお伝えしたとおりだ。マンションの管理規約によって適宜ルールが決められており、分譲マンションなどの管理規約のモデルとなる国土交通省の『マンション標準管理規約』では、専有部分について第17条-1で次のように定めている。

第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。

これはタワーマンションに限った話ではない。ほとんどのマンションで個人(区分所有者)は、主に住居となる専有部分であってもあらかじめ理事長にその旨を申請し書面による承認を得なければならないと決められている。またマンション住人全体の共有物である共用部分に関しては、個人が勝手にリフォームすることは許可されていない。

次ページ一般的なリフォーム工事の流れ、申請書
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