業者は見た!「タワマン」の悲惨なリフォーム現場 マンション管理組合が責任を問われる可能性も

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【CASE:2】理事会に工事申請をし、床材を変えたところ騒音トラブルに発展

マンションのリフォーム・リノベーション工事を行う際、マンションの管理規約によるルールにのっとる必要がある。具体的な内容は後ほどお伝えするが、事前に工事申請をしたうえで、管理組合の許可を得なければならないのだ。

床材の施工では工法もさまざまあり、遮音性能が不明な場合は使用が制限されるケースがある。床材の遮音性能とは室内で発生する生活音などの影響をどの程度遮れるのかを表すもので、騒音のトラブルにも大きく関わってくる部分だ。

さらに工法だけでなく、床材にも防音性能を表す遮音等級が設けられている。遮音等級とは床への衝撃音をどれくらい防ぐことができるのかを示す値(L値)で示され、その値ごとに適用等級が異なる。L値が小さいほど防音効果が高いとされ、遮音等級が何等級~でなければ用いることができないという制限があることが多い。

今回の事例では、遮音性能が明確に示されていない大理石を使用する申請が提出され、理事会(管理組合)でも承認されていたが、施工を行ったところ、案の定騒音トラブルが発生する結果を生んだ。その後、騒音対策を施す改修工事を行う結果になった事例だ。床材などの知識を持つ建築士が工事内容をチェックしていれば、トラブルとならなかった可能性がある。

大型テレビを壁掛けしようとしたら

【CASE:3】戸境壁を加工したらテレビの音で苦情が…

3つめの事例は、大型テレビを壁掛け型で設置するため、リビングの戸境壁(こざかいかべ)を加工したところ、隣室から「テレビの音がすごく伝わってくる」と苦情を受けたというもの。

戸境壁とは、マンションなど共同住宅の各住戸の間を区切る壁で、基本的には加工は禁止されている。とくにタワーマンションの場合、建物全体を軽量化する目的で戸境壁に乾式パネルを用いるのが一般的だ。

本来であれば理事会で戸境壁を加工する工事が承認されることは考えにくいのだが、見落としなど何らかの要因があって工事が承認されたのではないかと推察される。

【CASE:4】カーテンや絨毯に関する確認項目がないために起きるトラブル

タワーマンションなどの超高層物件では、一般のマンションとは異なる注意事項がある。例えば火災が発生した場合、その高さから避難に時間がかかるため、大きな被害へとつながるリスクがある。そのため、高さが31メートルを超える(地上11階建て以上)のマンションでは、防炎性能を持つ製品の使用が消防法で義務づけられている。

しかしリフォーム工事の申請書に防炎性能についての確認項目がなければ、該当製品ではないものを使用してしまう可能性も考えられる。タワーマンションでありながら、防炎性能について記載がない申請書を利用するケースは少なくない。あらためて確認が必要になるだろう。

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