なんと宇宙の9割を占めている「謎の物質」の正体 宇宙はいまだに謎に包まれている

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銀河半径のおよそ6〜10倍程度の大きさをもった巨大球であり、距離にして30万光年以上です。いわば黒いダークマターの中の銀河の上で、私たちをはじめ生命体は生活しているということです。

ここで疑問なのは、ダークマターの構造体の最小単位はどれくらいのスケールかということ。矮小銀河という小ぶりな銀河が近年天文分野ではホットトピックです。

ここにはサブハローと呼ばれる数千光年より小さいようなハローも見つかっており、本当は私たちが観測できていないだけで、もっと小さいスケールのダークマターでできた生物がいるかもしれません。

ダークマター解明は宇宙人共通のテーマ

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宇宙全体においては、とにかく、この物質が占める割合は圧倒的です。元素すべてがのっている周期表の物質を宇宙全体からかき集めて比較しても、その5倍以上の差でダークマターが圧勝です。宇宙の解明にとってこの物質の正体を知ることは、宇宙人共通のテーマといえるほど、根底にかかわっています。

いずれもこの2つの正体解明が今後100年先の未来では実現し、新たな宇宙像を人類が手にし、それによって知識と科学技術が飛躍的に進歩することを願うばかりです。

高水 裕一 筑波大学計算科学研究センター研究員

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たかみずゆういち / Yuichi Takamizu

1980年東京生まれ。早稲田大学理工学部物理学科卒業。東京大学大学院、京都大学大学院を経て、英国ケンブリッジ大学理論宇宙センターに所属し、スティーブン・ホーキング博士に師事。現在、筑波大学計算科学研究センター研究員を務める。専門は宇宙論。主な著書に『時間は逆戻りするのか』『宇宙人と出会う前に読む本』『ウルトラマンと学ぶ 宇宙と生命体』(以上、講談社)、『宇宙の秘密を解き明かす24のスゴい数式』(幻冬舎)などがある。

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