子どもに「早くしなさい」と言わずに済む納得テク 「すぐやるスイッチ」入れ方を知るのは親の役目

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これを、心理学の世界では「メタ認知」と言います。メタ認知とは、自分が物事を認知していることを、客観的に認知している状態のことです。簡単に言うと、「自分が知っていること、知らないことを把握している」と言えばいいでしょうか。

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「自分が知っていること、知らないことを把握している」と聞くと、当たり前のことのように聞こえますが、私たちはなかなか自分を客観視できないものです。

しかし、こうやって頭の中の懸案事項を書き出すことで、自分の思考や行動を俯瞰することができるので、問題解決力が上がります。自分をメタ認知できるようになると、対応策も簡単に見つけられることが多いのです。
この状況をつくり出すことができれば、常に頭をスッキリした状態に保つことができ、スムーズに行動に着手しやすくなるのです。

メモすることに慣れてきたら、「学校」「塾」「部活」「友達」など、線を引いてカテゴリ分けするなどの工夫や、

・塾の宿題 → 夕食後にやる

・ゲーム → 学校と塾の宿題を終わらせたら30分やる

というように「書き出した紙を眺めて1つずつ対策をメモする」ステップに取り組むといいでしょう。そのうち、頭の中がタスクでごちゃごちゃしてきたら、自主的にノートに書きだすという習慣が身につくでしょう。

長い目で見れば結果的にラクになる

このように、お子さんの“やる気”に頼るのではなく、すぐ動くことのできる仕組みを親が教えてあげましょう。

一見、親の負担が増す気がしますが、最初にテクニックを教えてあげるだけ。そのうち子どもの身に付けば、毎日「まだやっていないの!」「早くやりなさい!」とガミガミ言うことも減り、結果的にラクになると思います。ぜひ、親子で取り組んでみてください。

大平 信孝 メンタルコーチ

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おおひら のぶたか

株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。メンタルコーチ。中央大学卒業。長野県出身。会社員時代、自身が部下育成に悩んだ経験から、脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。部下育成のためのメソッド「行動イノベーション・トーク」を広めるべく、「行動イノベーションアカデミー」を運営。これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。主な著書に、『本気で変わりたい人の行動イノベーション』(秀和システム)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)など。

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