2006年にアメリカで行われた国民健康栄養調査でも、最も長生きなのはBMI25~29.9です。これは日本では、「太り気味」とみなされる値です。一方、「痩せ型」とされる18.5未満の死亡率は、その2.5倍も高いという結果に。
中高年の場合、若い頃に比べると、代謝が落ちて脂肪がつくのは当たり前のこと。多少太ったとしても、それは自然なことだし、むしろ統計的には長生きする確率が高まります。もちろん、肥満といってもあくまで「小太り」程度がよいのであって、明らかな太りすぎは心筋梗塞などを引き起こす可能性があるので、体に悪いのは間違いありません。
BMIが35以上の高度肥満と呼ばれる人々の場合は、体重を落とすべきでしょう。ただ、そこまでいかない「小太り」くらいの人のほうが、長生きはするのです。ですから、過激なダイエットをして「痩せないとダメだ」と強迫観念に駆られる必要はまったくないのです。
実際に私が診療する方々を見ても、60代以降の人は、少しぽっちゃりしたくらいの人のほうが、肌ツヤもよく、活動的です。痩せている人はしわなども目立ち、少しやつれた印象を受けます。無理なダイエットによって低栄養の状態にさらされることのほうが、ずっと健康にはマイナスになるのだと心してください。
「肉を食べすぎてはいけない」にだまされるな
年齢を重ねるほどコレステロールが高まる「肉食」を避けるべきとする考え方があります。しかし、私はこれにも大きく反対します。反対する理由をご説明する上で、ここ十数年、世間に流布する「肉を食べすぎてはいけない」というキャンペーンが、どこからきたかを検証するところからスタートしましょう。このキャンペーンが始まったのは、日本ではなくアメリカです。
アメリカでは、心臓の動脈硬化が原因の心筋梗塞が多く国民病といわれてきました。アメリカは日本の何倍もの肉食文化が根付いているので、肉を食べる量を減らすことで、肥満が減り、また動脈硬化も遅らせ、ひいては心筋梗塞も減るので、平均寿命が一気に伸びます。だからこそ、「できるだけ肉を減らして、心筋梗塞を減らそう」とする動きが生じたのです。
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