スバル「2拠点生活」に込めた未来へのメッセージ 産業の大変革期に求められる「スバルらしさ」

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2拠点生活者の神向寺信二さん(1952年生まれ)は、一級建築士として建設設計の分野で実績がある。

今は、古民家で一般的に採用されている“木と木”を組み合わせて構成する日本古来の伝統構法の考え方を基盤として、現代社会に適合するように、省エネなどを考慮した住宅設計を目指しているという。

鴨川との関わりは、2011年に参加した棚田オーナー制度が発端だ。当初は、千葉の別の地域での2拠点生活も考えたが、鴨川周辺の里の美しさに惚れ込み、300坪の土地を購入した。

建築士として数々の建物を設計したきた神向寺さんは「自分自身で家を建ててみよう」、屋根や一部のコンクリート部分を除いてセルフビルドで小屋を作り上げた。

神向寺信二さん(筆者撮影)

オフグリッドを基本としていて、電気はポータブル電源、シャワーなどは太陽光を用いている。現在、ガレージ、サウナ、作業場、倉庫などを兼用するスペースを、東京との2拠点生活をしながらセルフビルディング中だ。

このように、今回取材した方々は、一般的な感覚での“気軽な移住”というイメージと比べると、暮らし方にかなり特徴がある。そのうえで、皆さんに対して筆者が共通項として感じたのは、「思いっきり生きている」という点だ。

ある種の覚悟をもって移住生活、または2拠点生活をしており、そうした「本気度」が生活の深みを増して、皆さん「人生が楽しい」と感じているのだと思う。

なぜ、このタイミングで体験会を実施したのか?

では、スバルはなぜこのタイミングで、こうした「人の暮らし」に焦点をあてた「里山life」という観点での体験会を行ったのだろうか。背景には、2021年8月に正式オープンした、スバル里山スタジオ(千葉県鴨川市細野)がある。

以前に記事にしたように、スバル里山スタジオはもともと行政が管理運営する嶺岡キャンプ場だったが、「スバル車の使用シーンを想起させる(スバルらしい)撮影・試乗ができる取材拠点」としてスバル広報部が再整備を進めてきた土地だ。

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