人は集まるが意見が集まらず日本的会議の大問題 会議は「トップやリーダーの話を拝聴する場」に

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社内の定例会議などでよくある光景ですが、日本の会社では、ずっと黙ったままの出席者が多い会議も珍しくありません。

たまに意見を求められても、何の根拠も示さずにイメージだけで発言したり、相手の意見を批判することが議論だと勘違いしているなど、会議の目的をきちんと理解していない出席者が多い会議も普通にあります。無意味な会議ほど、退屈でムダなものはありません。

こうした会議を繰り返していると、徐々に毎日の仕事がつまらなく思えてきます。現在の会議のままでいいのか、それぞれの立場で改めて見つめ直す必要があります。

褒めてるつもりで伝わっていない

日本人は人を「ほめる」ことが苦手です。人をほめるとは、「ヨイショ」をすることではありません。相手の成功や成果をきちんと認めて評価することですから、ビジネスの世界では大切なことですが、あまり機能していないのが現実です。

二流の上司は、そもそも人にほめられた経験が少ないため、ほめ方を知りません。しっかりと評価してあげる場面でも、「まぁ、うまくやったよね」とか、「いいんじゃないの」という冷めた表現でお茶を濁します。
これでは、ほめられているのかどうか、本人にもよくわかりません。少なくとも、本人の承認欲求が満たされることはありませんから、モチベーションが上がることは期待できないのです。

それなりに仕事ができる上司は会議や朝礼など、ミーティングの機会を使って人前で部下をほめます。当人にとっては大きな励みになり、参加している人に評価のポイントを共有させることもできます。ほめられた本人はもちろん、周囲の人のモチベーションを上げる効果も視野に入れて、あえて人前でほめているのです。

超一流は本人に直接ではなく、第三者を通じて人づてに相手をほめます。
「この間、君の上司のAさんが、『彼の交渉力は見事だな。仕事ができることは知っていたけど、あそこまで成長しているとは驚きだ』と言っていたよ」

ほめられた本人は、「自分のいないところで、そんな話をしていたのか」と仰天すると共に、承認欲求が高いレベルで満たされることで、モチベーションがアップするのです。

第三者の言葉でほめられると、人はその言葉を素直に受け入れる傾向があります。その第三者がほめられた本人のリスペクトしている人であれば、二重にほめられたのと同じ状況ですから、その効果は倍増します。

これはマーケティング分野でよく使われる「ウィンザー効果」と呼ばれるもので、「直接の利害関係がない第三者による情報は、高い信憑性を獲得しやすい」という人間の習性にも基づいています。

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