秋のご馳走「白トリュフ」とはいったい何なのか 採取解禁の10月以前に東京で提供される「謎」
500年ぶりという大旱魃に見舞われた今年のヨーロッパでは、雨が降らないだけでなく、灼熱の日々が6月から8月まで続いた。40度を超える地域も続出したのに、一般家庭では日本ほどクーラーが普及していないから、熱帯夜に人々は苦しんだ。
そんなイタリアでも、9月に入ってようやく涼しい風が吹き始めた。暑さバテの身体は一心地つき、心はウキウキと弾み出した。なぜかと言えば、豊穣の秋、食欲の秋だから。そう、おいしいもの満載の季節がやってくるからだ。
私が暮らす北イタリア・ピエモンテ州の秋のご馳走はといえば、フンギポルチーニや栗、アルプスで作られる各種チーズに、伝統的なサラミや手打ちパスタといろいろあるが、中でも白トリュフは有名だ。名産地として世界的に知られていて、採取が解禁になる10月から12月にかけては、世界中から食いしん坊な観光客が押しかけてくる。2020年と2021年にはコロナで中止になっていた白トリュフ祭りも今年から再開され、開催地のアルバという中世の小さな町が、何十万人という人でごった返す。
トリュフとは、いったいなんなのか?
最近は日本でもトリュフ、トリュフと言われてブームのようだが、じゃあいったいトリュフってなんなの?と聞かれたら、実はよくわからないという人が多いのではないだろうか。ウィキペディアを見ると「トリュフとは地下に生息する子嚢菌の子実体のことで、主にセイヨウショウロ(Tuber)属の多くの種のうちの1つである」と書かれているが、これじゃなんのことかあまりよくわからない。簡単に言い替えるなら「トリュフとはキノコと同じく、胞子を介してある種の木の根に寄生して、地下で成長する小さな塊のこと」。それをスライスするなどして料理に添え、香りと風味を楽しむ。
黒、白、サマートリュフなど、さまざまな種類がヨーロッパ大陸に約30種類あると言われていて、フランス料理で使われる黒トリュフが有名だが、近年はイタリア産のトリュフにも人気が集まっている。イタリアにも黒トリュフ、サマートリュフなどさまざまな種類があって、色による分類のほかに、取れる季節によって呼び名がつけられている。
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