朝ドラ効果健在、「あまちゃん」舞台走る市民バス 1時間超えの乗車でも運賃500円・野田久慈編

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久慈海岸線のバスは行き止まりの久喜浜で折り返し、元の県道に戻って山間部へと急勾配を上り始める。この丘陵地に三崎、さらには小袖といった集落があって、小学校や中学校もある。途中のバス停で年配者2人が乗り込んできて、市街地まで行かないうちに降りた。険しい地形ゆえ、地域内だけの移動にもバスが頼りにされているのだ。

岩手県北バス久慈海岸線
岩手県北バス久慈海岸線(筆者撮影)

小袖を名乗るバス停を過ぎると、高台から海岸へ一気に下ってゆく。降りきったところが小袖漁港で、小袖海岸バス停がある。こうした集落と漁港との位置関係にも、すっかり馴染んだ。

小袖漁港は『あまちゃん』の主要ロケ地だ。大ブームが起こっていた頃は、久慈駅―小袖海岸間に臨時バスが運転されていた。現在も4〜10月の土・休日は小袖海岸発久慈駅行き1本、7〜9月の土・休日はさらに久慈駅―小袖海岸間に1往復の増発があり、いまだにブームの余韻が続いている。本来の久慈海岸線は平日が陸中野田駅発2本で、8時30分発が最終。久慈駅発が3本で午後〜夕方発と、完全に地域住民向けダイヤだ。ちなみに土・休日も1往復だけながら久慈駅―陸中野田駅間のバスが走る。

朝ドラで有名になった駅前

小袖漁港はすっかり観光地化した感があるが、久慈海岸線久慈駅行きの見どころは、小袖海岸バス停を出てから。波打ち際をずっと走り、車窓には入れ替わり立ち替わり奇岩奇勝が現れる。本来、小袖海岸とはこの付近を言い、玉の脇まで約20分間、楽しませてくれる。

市街地に入り、消防署前が郊外型店舗が集中する商業地帯の最寄りバス停。そして久慈川の河口を渡る久慈大橋の南詰めにも当たり、海岸線に忠実ならば、ここで降りて夏井方面へのバスに乗り換えるのが筋だが、時間があるので、県立久慈病院など市街地を一回りして終点の久慈駅までつき合う。

久慈駅前のバス待合室
久慈駅前のバス待合室(筆者撮影)

なお、2019年末までは、ショッピングセンター内にバス停があったが、2020年元日より三陸沿岸道路開通による経路変更で乗り入れなくなり、代わりに消防署前が設けられたとの経緯がある。利用客の便を考えると、なんとか乗り入れを再開できないものか。

久慈駅9時36分着。所要時間1時間を超える長距離路線だが、運賃は500円。これは「のるねっとKUJI」の上限運賃として定められている額だ。久慈は鉄道の復旧が比較的早かったので、被災鉄道の取材では何度も立ち寄っている。

JR八戸線の駅は近年改装され、面目を改めたが、これも『あまちゃん』で有名になった三陸鉄道の久慈駅や久慈駅前デパートはそのままだ。駅前広場はバスターミナルになっており、南側には「久慈市情報交流センターYOMUNOSU」が出来上がった。観光案内所や久慈市立図書館などが一体になった建物で、一角にはバス待合室も整備されている。

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