朝ドラ効果健在、「あまちゃん」舞台走る市民バス 1時間超えの乗車でも運賃500円・野田久慈編

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続いて、海バスが現れた。愛称にふさわしいラッピングが施されている。ワゴン車の村営バスとスクールバスとの役割分担はできているが、どちらも席が埋まりきっているわけではない。

野田村営バス
下安家バス停に到着する野田村営バス(筆者撮影)
三陸鉄道の十府ヶ浦海岸駅
三陸鉄道の十府ヶ浦海岸駅(筆者撮影)

海バスは南坂を起点として下安家など海に近い集落や村役場などを回り、陸中野田駅前まで行く。平日は朝の南坂発2本、午後の村役場発3本を運転。合間には市街地を回る循環コースにも充当される。運賃は無料だ。

空いている国道を快走し、玉川からは少し山側へ入り込んだかと思うと三陸鉄道の築堤が現れ、7時48分に十府ヶ浦(とふがうら)海岸駅前に着いた。近くの高台に建設された団地や、風光明媚な海岸への最寄り駅として2017年3月25日、新規に開業した駅だ。ここで8時12分発の久慈行きの列車を待ち、8時18分着の陸中野田まで、ひと駅乗る。

巧みに運用されるバス

この区間は東日本大震災以前は海沿いの松原の中を走っていたが、津波で防潮堤、松原、鉄道線路、国道、そしてそのさらに内陸側にある集落まですべて破壊しつくされた。震災直後に訪れたことがあるが、瓦礫が山積みにされていたことを覚えている。

津波被災地を走る三陸鉄道
十府ヶ浦海岸―陸中野田間を走る三陸鉄道(筆者撮影)

三陸鉄道の線路は同じルートで再建されたので、位置関係がわかりやすく、後日、同じ場所に立ってみた。松原をよみがえらせるべく、松の若木が育てられているのが頼もしい。海岸沿いは、防災緑地を兼ねた十府ヶ浦公園として整備が進められた。

陸中野田駅では、先に着いていた海バス、山バスの2台が、三陸鉄道の列車から降りた数人の高校生を乗せ、久慈工業高校へ向かうシーンを眺めた。限られた数の運転士と車両をフル活用し、巧みな運用が行われている。

陸中野田の駅前
陸中野田駅と海バス(筆者撮影)

こちらは、駅前に乗り入れているもう1本の路線バスである、岩手県北バスの久慈海岸線久慈駅行きで三崎半島を回る。見た目はふつうの路線バスだが「市民バス」のステッカーが貼ってあり、久慈市が運行を委託しているバスとわかる。

久慈市域は陸中野田駅のすぐ近くまで広がっており、この系統も8時30分に出発して、野田港を経て10分も走らないうちに、久慈市内となる久喜浜を通る。わずかな距離であるし、鉄道の最寄り駅は陸中野田になるので、市村境を越えて乗り入れているのだ。元は国鉄バス〜JRバス東北が運行していた系統だが、2008年3月末限りで久慈地区のローカル路線が廃止になった際、他の路線とともに久慈市へ移管され、岩手県北バスへ委託。「のるねっとKUJI」と愛称がついた。

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