政府のコロナ対応、経済学者との知られざる対話 政策に都合のいい提言や分析は求められなかった

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コロナ緊急事態宣言解除
政府の政策判断の裏側にはさまざまな専門家の知見がある(写真:Graphs/PIXTA)
パンデミックの中、研究者が果たしうる役割を問い続け、社会・経済活動との両立を考えるための分析や、感染シミュレーションを発信し続けてきた経済学者の仲田泰祐氏と藤井大輔氏。毎週更新の見通しに加え、その時々で重要なテーマに関する分析をさまざまに公表してきた。
それは政策現場にも届き、たびたびの分析依頼にも応えながらモデル分析を通じて政策判断の材料を提供してきた。彼らはどのように行政や政治家等の政策関係者たちに分析を伝え、対話してきたのか。今回の経験を通じて何を感じ、研究者が政策現場で果たすべき役割として何が重要だと考えたのか。
「私たち経済学者が『コロナ感染の分析』に挑んだ訳」(9月21日配信)に続いて、共著『コロナ危機、経済学者の挑戦 感染症対策と社会活動の両立をめざして』より、2人の対談部分を一部抜粋、再構成してお届けする。

何を、どのように伝えるか?

――行政や政治家の方々とのコミュニケーションでは、特にどんなことを重視していますか。

仲田 泰祐(以下、仲田):重視している点は二つあります。一つは、「こういう仮定を置いたら、こういう結果になる」という形で、シミュレーションの仮定と結果を丁寧に説明すること。もう一つは、さまざまなシミュレーションから見えてくる要点をわかりやすく示すことです。これは、一般の方々やメディア関係者の方々に向けて発信するときと同様です。

藤井 大輔(以下、藤井):加えて、私たちは「分析結果から得られたインプリケーションだけを伝える」ということにも、かなり気を配って発信していました。多岐にわたる具体的な質問の中で、私たちが分析していない点についてはコメントはしないように注意してきました。また、「こうすべきだ」という提言のようなスタンスで発言しないようにもしていました。

提言のような形で発信したのは、2回目の緊急事態宣言をいつ解除するかの分析等、限られたものだけです。このときは中・長期的な視点から、「新規感染者数をある程度下げてから宣言解除をする場合には、累計死者数・経済損失ともに最小化できるだろう」ということが、ある程度普遍的なメッセージとして分析から得られていたために、このような形で発信しました。

次ページ制作現場から「どうすべきか」の意見を求められなかったのか
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