何を、どのように伝えるか?
――行政や政治家の方々とのコミュニケーションでは、特にどんなことを重視していますか。
仲田 泰祐(以下、仲田):重視している点は二つあります。一つは、「こういう仮定を置いたら、こういう結果になる」という形で、シミュレーションの仮定と結果を丁寧に説明すること。もう一つは、さまざまなシミュレーションから見えてくる要点をわかりやすく示すことです。これは、一般の方々やメディア関係者の方々に向けて発信するときと同様です。
藤井 大輔(以下、藤井):加えて、私たちは「分析結果から得られたインプリケーションだけを伝える」ということにも、かなり気を配って発信していました。多岐にわたる具体的な質問の中で、私たちが分析していない点についてはコメントはしないように注意してきました。また、「こうすべきだ」という提言のようなスタンスで発言しないようにもしていました。
提言のような形で発信したのは、2回目の緊急事態宣言をいつ解除するかの分析等、限られたものだけです。このときは中・長期的な視点から、「新規感染者数をある程度下げてから宣言解除をする場合には、累計死者数・経済損失ともに最小化できるだろう」ということが、ある程度普遍的なメッセージとして分析から得られていたために、このような形で発信しました。