不登校の子に「なぜ?」と聞いてはいけない理由 親がしてしまいがちな誤った対応

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

中学1年生で不登校になったAさん。きっかけは、いじめでした。ある日、自分の机にチョークの粉がまかれていたことを機に、学校へ行かなくなりました。当時の周囲の対応についてAさんは「担任が頻繁にいじめについて聞いてくることがつらかった。それって結局、原因探しですから」と言います。

では、Aさんが望む対応はどのようなものだったのか。じつは、Aさんの隣の席の生徒が取った行動がそれでした。その生徒はAさんの机を見て「誰だ、こんなことをしたのは」と、すごい剣幕で怒ったのです。その瞬間、「私の気持ちに共感してくれる人がいる」と感じ、気持ちが楽になったと言います。つまり、Aさんにとっては「何があったのかという原因探し」ではなく、「今つらいんだという気持ちに共感してくれたこと」が救いになったということです。

原因の究明を望んでいない

東京都三鷹市で25年間、不登校の子どもを支援している「フリースペースコスモ」のスタッフ・佐藤真一郎さんは「子どもは親に不登校の原因を究明してほしいと思っているわけではない。自分がいちばん安心できる存在である親に『自分の思いを聞いてほしい、受けとめてほしい』と思っていることが多い」と言います。そして、親の対応として第一に考えるべきは「子どもの気持ちを聞いて、その気持ちに寄り添うこと」と指摘します。具体的には「楽しい、苦しい、悲しい、気持ち悪い。いろいろな気持ちがあるけれど、今どういう気持ちだろう?」というように聞くことで、親が自分の気持ちを受けとめようとしていることが子どもに伝わり、安堵すると言います。

「学校へ行きたくない」という子どもの訴えを、そのまま受けとめるのは、親にとっては非常に難しいことです。しかし、佐藤さんが指摘するように、自身の気持ちをいちばん理解してほしい親だからこそ、子どもは本音を伝えているとも言えます。その際に必要なことは「不登校の原因探し」ではなく、ましてや不登校の善悪をジャッジしたり、先々を見越したアドバイスなどでもなく、時に言葉にならないかもしれない子どもの今の気持ちを受けとめること。これこそが、子どもの未来にとって、大事なスタート地点になります。(編集局・小熊広宣)

不登校の関連記事
「うつ病の一歩手前」と診断 夏休み明けに不登校した私を救った一言
「もういい」と本人が言うまでつき合う 訪問支援を20年続ける「漂流教室」
小2の夏休み明けから不登校 家で学んだ「学校では教えてくれない休み方」

不登校新聞

日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

公式HP 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事