「勉強しないとああなる」暴言に清掃員伝えたい事 ごみ収集作業員が先生?環境学習に携わる職員

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

現在では小学校での環境学習に清掃事務所が協力する形ができているが、両者の関係がぎくしゃくしていた時期もあった。小学校の傍らでごみ収集作業をしていた際、2階の窓から見下ろしていた教諭が児童たちに向かって、「勉強しないとああなるぞ」と暴言を吐いたことがあったからである。

このような経緯もあり、環境学習においては清掃差別についても必ず触れ、幼い頃から差別的な目で清掃事業を見させないような語りを交えている。

「収集作業中に鼻をつまんで『くさーい』と言って通りすぎていく人がいます。そのようなことを言われると悲しくなります。おじさんたちが作業しているのを見かけたら『頑張ってね』と声をかけてください」と伝えている。

清掃従事者はこれまで謂れのない差別を受けてきた経緯がある。環境学習の根底には、「清掃差別を払拭していきたい」という清掃職員の思いが存在している。

神奈川県座間市の啓発事業

神奈川県座間市では、保育園児や幼稚園児を対象とした「啓発事業」が清掃職員により展開されている。清掃職員が所属するクリーンセンターには、啓発事業を担当する係は編制されておらず、興味や関心を持つ清掃職員が手を挙げて取り組んでいる。

啓発事業には定型的なコンテンツは存在せず、担当者に一任される。よって担当者同士で園児や幼児が環境問題に関心を抱くテーマを議論し、1から手作りでストーリーを考案して啓発事業を展開していく。

今年度は、海洋プラスチックに焦点を当て、投棄したごみが川から海へと流れ着き海洋を汚染している問題や、魚がマイクロプラスチックを食べている問題や、それを回避するためには分別と排出をしっかりと行うことが必要だということをテーマにした。このために担当者は、帰宅後に机に向かい環境問題やSDGsへの理解を深めていき、問題をどのようにわかりやすく伝えるかを思考している。

一方、伝達方法においても工夫を凝らし、子どもたちの気を引くように作成した動画を流す「デジタル紙芝居」形式とし、清掃職員が考案したキャラクター「パッカ君」と司会のお兄さんとの掛け合いにより進められていく。

デジタル紙芝居の動画に登場する探偵に扮したパッカ君(画像:座間市清掃職員奥脇さんの作成動画より)
次ページ子どもに伝える工夫
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事