「勉強しないとああなる」暴言に清掃員伝えたい事 ごみ収集作業員が先生?環境学習に携わる職員

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パッカ君とお兄さんの掛け合いに傾聴する園児(筆者撮影)

ちなみに、パッカ君の箱の中には清掃職員の奥脇さんが入り込み、子ども口調でパッカ君人形を演じている。啓発事業の当日は炎天下の中で3クラス分3回の実演となったものの、子どもたちに伝わるようにと必死にパッカ君を演じていた。

炎天下のグラウンドでパッカ君を演じ続けた奥脇さん(筆者撮影)

園庭に特設したビーチで実践!

デジタル紙芝居で海洋プラスチック問題への理解を深めた後は、ごみの分別を学習する要素も取り入れたビーチクリーンへと展開していく。その際、子どもたちは容器包装の識別表示マークに従った分別を苦とせず、自然と楽しみながら取り組んでいた。

園庭に特設したビーチで園児がごみの分別を学習する様子(筆者撮影)

啓発事業で気をつけているのは、「一段上に立って教える」のではなく、「一緒になって考える」「ヒントを与える」「一緒にやってみようよ」というスタンスを採っている点である。

そのため、子どもたちは話の中に引き込まれリアクションも非常にいい。プログラムの終わりには、園児から大きな声で「また来てね~!」「ありがとう!」といった声があがる。横で見ているだけでも目頭が熱くなる場面であり、実際に取り組んでいる清掃職員にとっては、それらの声が普段の過酷な収集業務に取り組むうえでの大きな励みとなる。

園長は、「子どものときから環境について学んでいれば、大人になっても関心を持ち続けていく」と、座間市の啓発事業を幼稚園教育に位置づけている。清掃職員の創意工夫により展開される啓発事業は、資源循環社会に参加する人材の育成に大きく寄与している。

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