2位のINPEXは原油・天然ガスの上流企業のため、資源高で利益が膨らみ、期初想定を大幅に上回った。資源高の恩恵を受けたのは、3位の三菱商事も同様だ。豪州に権益を持つ原料炭が年度前半に大きく稼いで、ロシア関連の損失を吸収。通期も上振れとなりそうだ。株価はいずれも、足元の原油高一服の動きなど資源価格の動向を受けて、調整に入っている。
4~6月期の営業利益が前年同期比ほぼ倍増の好発進となった4位信越化学工業の場合は、塩化ビニルが年度前半を中心に稼ぎ、半導体シリコンウエハも好稼働に加え、先端品が増えることで採算が向上。円安もプラスに働き、四季報では前号から大きく予想を引き上げている。
SOX(フィラデルフィア半導体)指数の軟化やアメリカの住宅ローン金利の上昇を受けて株価は年初から上値の重い展開が続くが、予想PER(株価収益率)は10倍まで低下し、割高感は後退している。外国人投資家が積極的に買い始めれば反転上昇も予想されるだけに、その値動きも注目されそうだ。
一転増益予想に引き上げた自動車メーカーも
5位と6位には自動車メーカーが入った。5位のホンダは北米や日本の回復が想定以上で、円安も満喫し前号の営業減益予想から一転、増益予想に引き上げている。会社も8月に期初予想を上方修正したが、まだわずかに減益見通しと慎重姿勢だ。
6位のスズキは柱のインドが需要旺盛で、こちらも円安効果が大きく、海外での値上げ効果も想定以上となり、今期業績は上振れしそう。営業利益は3割増益と、利益の回復が大きく進みそうだ。
増額率の高さが最も大きかったのが、増額幅14位のHSホールディングス。傘下のハーン銀行のモンゴル市場への上場が延期されたことで、同行の持ち分会社化が遅れ、それによる営業利益への上乗せが想定以上となり、前号から大幅増額となった。
38位のサンリオの場合は、素直に業績回復が想定以上というケース。テーマパークの収益改善が効いて2022年4~6月期の営業利益が23億8300万円と、期初計画の上期(2022年4~9月)営業利益7億円を軽く超過した。会社側は上期、通期予想ともに大幅に上方修正したが、四季報予想は会社修正計画を上回る増額としている。こちらも増額率150%と大きかった。
秋号では会社が上方修正したものだけでなく、四季報記者が独自取材に基づき予想を引き上げているケースも多い。10月以降の上方修正ラッシュが期待されるところだ。
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