この5年で「売り上げ」が伸びた食べ物トップ30 全国のスーパーやコンビニなどのデータを集計

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また、パウチ入り食材で構成比を増加させていたコーンやサトイモは、冷凍農産では構成比を減少させている。冷凍農産と比較して、パウチ入り食材には常温でも保存できる備蓄のしやすさや、解凍せずに封を切るだけで使用できる簡便さから、いっそう人気になっていると言えそうだ。

この5年で特にヒットした商品は?

最後に、カテゴリーを牽引したヒット商品について見ていきたい。ここでは、2021年対2017年比で、カテゴリー全体よりも、特に大きな伸びを示したヒット商品を紹介する。

栄養バランス食品は、栄養補給のための食品で、バー状のものが中心だ。簡単に小腹を満たせる食品として以前から人気だったが、この5年でとりわけ伸びたのがプロテインバーだ。2021年対2017年比で422.4%と4倍超まで伸長した。

また、健康食品は、栄養補給や滋養強壮などを目的とする、粒状や粉末状などのサプリメント。健康食品でも、プロテイン粉末の2021年対2017年比は212.0%と2倍超まで伸長しており、プロテイン商品がひときわ人気となっていることが見て取れる。

プロテイン商品は、タンパク質を豊富に含んでおり、栄養補給に適した食品とされている。元々は、筋肉増強を目的とする人に人気だった商品だ。ところが最近では、食物繊維やビタミンなどの栄養素を含むことや、低糖質であることなどを訴求するプロテインバーが人気となっている。

プロテイン粉末も、ソイプロテインのように腹持ちがよくダイエットにも効果的と訴求する商品が人気のようだ。このように、筋肉増強のためだけではなく、健康やダイエットのためにもなると、さまざまな人に支持されたことがプロテイン商品の人気の理由と言えるだろう。

続いて、シリアル類のオートミールは、2021年対2017年比で1157.2%と驚異的な伸びを示している。シリアル類は、グラノーラやコーンフレークなど、朝食に食べることが多い食品だ。オートミールは、食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素を含んでおり、低カロリーでもあるので、健康・ダイエットによいと人気となった。「米化」といわれる米の代わりに食べるレシピが注目を集め、朝食に限らず、昼食や夕食でも食べられるようになり、市場が急拡大したようだ。

東洋経済オンラインでは特設ページ「国内で販売されている主要商品の価格推移」を2022年7月より公開し、インフレーションに関するデータの可視化を行っている

人気商品のキーワードとしては、「簡便」「健康」「ダイエット」が挙げられる。これらの特徴を持つ食品の人気は、コロナ禍でいっそう高まっている。

最近は食品の値上げが相次いでいるが、この5年で売り上げが伸びた食品も例外ではない(詳細は特設ページ「国内で販売されている主要商品の価格推移」を参照)。コロナ禍の長期化に加えてやってきた、大きな値上げの波が、この先伸びていく食品のトレンドにも影響を与えそうだ。

木地 利光 市場アナリスト

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きじ としみつ / Toshimitsu Kiji

市場調査会社インテージの市場アナリスト。食品、飲料、雑貨など各種消費財のデータを分析し、新聞・雑誌・TVなど各種メディアに対して、取材対応や情報提供を実施。メディア掲載は、年間100件を超える。

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