物価上昇時代に「安売り」を続ける日本の末路 日本人が京都に泊まれない時代が来る

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日本は観光資源に恵まれた国である。歴史も自然も文化も食も、魅力的な観光地に必要な要素がすべてある。東南アジアを中心にリゾートホテルを展開するアマングループが進出先を決定する際に考える検討要素があるそうだが、それをすべて満たしているのは、世界で日本だけなのだそうだ。

だが、京都を訪れると、駅前から神社仏閣まで人で溢れている。一般の観光客はいいが、富裕層はそうした雰囲気を嫌い、離れていってしまう。そこで、京都のような街は超ハイエンドなホテルを中心にすることで観光客を絞り込み、数よりも「どれだけお金を使ってもらうか」を意識したほうがいい。そういう話であった。

一等地には泊まれなくなる?

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その話に深く納得するとともに、一抹の懸念がよぎった。そうなると、もはや日本人は気軽に京都にすら行けなくなるのではないか。市内の一等地のホテルは外国人しか宿泊できず、日本人は市外にしか泊まれなくなるのではないか、と……。

大げさに思われるかもしれないが、私はここが日本という国にとってのターニングポイントではないかと考えている。すなわち、この価格上昇局面において、「ひたすら安さにこだわる」のか、「よりいいものを、より適正な価格で売る」ことに意識を転換するのか。

もし、前者にこだわり続けてしまうと、日本はさらに「安く買い叩かれる国」になっていってしまう恐れがある。そのような未来は、誰にとっても考えたくはないだろう。

小阪 裕司 オラクルひと・しくみ研究所 代表/博士(情報学)

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こさか ゆうじ / Yuji Kosaka

山口大学人文学部卒業。1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「感性」と「行動」を軸としたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県から約1500社が参加。2011年工学院大学大学院博士後期課程修了、博士(情報学)取得。著書は『価値創造の思考法』など計39冊。 公式サイト https://kosakayuji.com/

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