物価上昇時代に「安売り」を続ける日本の末路 日本人が京都に泊まれない時代が来る
そんなアメリカ人にとって、ラーメン1杯が1000円もしない日本はパラダイスだ。そもそも昨今の先進国において、ちゃんとしたランチを1000円以下で食べられる国など日本くらいしかないのではないか。
アメリカだけではない。ヨーロッパも中国も、物価がどんどん上がり続けている。アジア各地のリゾート地でも、以前行ったときと比べて驚くほど物価が上がっているのを実感することがある。逆に言えばそれは、相対的に日本が安くなっているということだ。
先日、日本の購買力が50年ぐらい前に戻ってしまっているという衝撃的なデータが発表された。日本人はあらゆる面で海外に対し「買い負け」しているのだ。
その先にある「あまり考えたくない未来」
では、そうして訪れる未来はどうなるのだろうか。紅茶の産地として知られるスリランカだが、上質なセイロンティはほぼすべてが輸出に回され、現地にはほとんど出回らないという。同様に、高級コーヒー豆の生産地でも、現地の人はほとんどそれを飲んだことがないという話をよく聞く。同じようなことが日本で起こりうる。高級品はすべて海外に輸出され、日本国内には品質の低いものしか流通しなくなる。
実際、ホテル業界で近い現象が起きている。コロナ禍でこれだけニーズが減ったのに、ホテル価格は高止まりしており、一方で1泊10万円以上するような高級ホテルが続々とオープンしている。海外からのインバウンドやビジネスニーズを意識したものだ。
私は数年に一度、シンガポールの大学で地政学を学んでいる。そこで以前、教授から聞いた話が強く印象に残っている。
当時、観光立国を標榜し、実際にインバウンド需要が拡大しつつあった日本に対し教授は、それは正しい道だと指摘しつつも、「訪日観光客数の増加をひたすら目指す方針は間違っている」と指摘した。
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