物価上昇時代に「安売り」を続ける日本の末路 日本人が京都に泊まれない時代が来る

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そこに円安が追い打ちをかけている。ほんの1年前に1ドル110円程度だったものが、2022年7月にはついに1ドル139円にまで上昇した。これは、輸入品の価格が1年で2割上がったということであり、円による購買力が2割下がったということでもある。

このような状況下で、今後「買い負け」は進みこそすれ、収まることはないだろう。しかも、今後は中国だけでなく、インドやインドネシアといった人口の多い国々で富裕層や中流層が一層増加していく。

一番確実に読める未来は人口動態だといわれる。これらの国々の消費人口が増えていくことはもうわかっていることであり、その人たちが富裕層・中流層になれば当然、購買力が高まる。

もちろん、昨今の物価高は原価高騰の影響が大きい。しかし、本質的な問題は購買力の問題なのだ。つまり、コロナ禍が収束し、ウクライナでの戦争が終結しても、物価高は収まらない。そう考えておいたほうがいいだろう。

バブル以来のデフレによる過剰反応

このような状況を受け、「価格を上げなくてはどうしようもない」という機運は徐々に高まっているように思う。しかし、ここに1つの問題がある。日本人は「価格アップを過剰に恐れている」ということだ。

バブル崩壊以来、日本は30年近く、消費者物価の上昇が抑えられていた。それどころか「デフレ時代」と呼ばれるように、むしろ安くなる商品も多かった。吉野家の牛丼が200円台にまで値下げされたことを覚えている人も多いだろう。

また、パソコンなどがその典型だが、技術が進んで汎用化されるとともに、価格も下がってくる。つまりこの30年、物価はむしろ下がっていったというのが、多くの人の実感ではないだろうか。

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