年70万トン!廃棄物扱い「おから」の悩ましい実態 お金を生まず処分される「食品」を救えるか

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カチンカチンの「おから」の正体

もうひとつ、おから活用の面白いアイデアに出会った。茨城県の笠間にあるお豆腐屋さん「豆腐茶屋 佐白山のとうふ屋」(※3)の取り組みだ。

あるとき店舗を訪れた僕は、東京の自宅用にお豆腐を買った。持ち帰るにはさすがに保冷剤を付けなければならず、店の人が保冷剤を用意してくれた。それが、なんとビニールに入ったカチンカチンに凍ったおから、税込み30円。まさに目からうろこ的なナイスアイデア。

「豆腐茶屋 佐白山のとうふ屋」で保冷剤として無料で提供しているおから(写真提供:豆腐茶屋 佐白山のとうふ屋)

お店の人は「解凍して炒めれば食べられます」と言って渡してくれる。渡されたほうは本来お金を払って保冷剤を購入するケースもある中、タダで保冷剤をもらってちょっと嬉しいし、さらには解凍したらおからを調理して食べられる。まさに嬉しさ2倍。

捨てているはずのものが、ユーザーの心を掴む。本来お金払って捨てるマイナスのものがゼロでもなく客が喜ぶプラスにまでなる効果となっている。知恵だなぁと思った。

こういう小さなアイデアが大きく”山”を動かしそうな気がする。

もちろん、この店だって保冷剤だけで廃棄がなくなるほど賄えるわけではなく、やはり多くのおからが無償で飼料になったり、お金を払って処分している。でも各地でこんな保冷剤ができたら少しは廃棄を減らせて素敵だな、と思う。

料理レシピの開発で、廃棄を減らすという手も

豆腐そのものは奈良時代に日本に入ってきたと言われる。江戸時代には豆腐料理のレシピ本「豆腐百珍」がたいそう人気本になったそう。おからももちろん庶民のお安いタンパク源として重宝されたとも聞く。

そんな中で僕らがほとんど知らない、忘れられているメニューもある。昔からの伝統食、郷土食にもおからはうまく使われている。ここにもおから活用のヒントがある。

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