稲盛和夫さんの『生き方』が強烈に支持された訳 日中で累計730万部の著書はどう広がっていったか

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京セラ創業者 稲盛和夫
稲盛和夫さんのベストセラー書を発行した出版社の社長がその生き方を振り返ります(撮影:今井 康一)

2004年7月に刊行となった稲盛和夫さんの著書『生き方 人間として一番大切なこと』(サンマーク出版)が100万部を突破したのは、実は2013年の3月のことでした。ほぼ10年かけてミリオンセラーになった本というのはなかなか珍しいと思います。

しかし、それは5年や10年で色あせるものではない、人生における本当に大事なことが書かれていたからだと思っています。

担当編集者が企画を提出したのは、1997年のことでした。手紙を出すなど、いろいろ努力はしていましたが、なかなか前には進みませんでした。

ミリオンセラーの舞台裏

2002年の秋、民間の政治シンクタンクを立ち上げられていた小田全宏さんの主催するパーティで初めて稲盛さんにお会いできたのですが、聞けば、すでに出版社数社が順番待ちをしているとのこと。そこでわれわれの熱意、この本に賭ける思いを伝えるべく、ある〝戦略〟を立てました。

よく著者がホテルにもって原稿を書くためにカンヅメになる、という話が出版界ではありますが、私たちの場合は、まず担当編集がホテルにカンヅメになり、稲盛さんに提出する資料をまとめようと考えました。

稲盛さんのすべての著書、そして稲盛さんが塾長を務めていた若手経営者のための経営塾「盛和塾」の会報誌70冊ほどが段ボール1箱にびっしり詰まった資料を、担当編集が没入してすべて目を通したのです。

そして、もしわれわれが本を作らせてもらえるなら、こんな章立てでこんな項目にする、という詳しい目次を作りました。加えて、数十ページにもおよぶ見本原稿をつけ、「稲盛さんの代表作をぜひ作りたい」と切々と訴える手紙とともに、稲盛さんにお送りしたのです。まだ企画の了解をもらっていないにもかかわらず、です。2003年の6月頃でした。

これは私見ですが、その世界で断トツのトップになるような人は、目に見えないものが見えているのではないでしょうか。会社は小さいけれど、これまでにない比類なき本にしたい、という私たちの強い思いは、稲盛さんには通じたのかもしれません。3カ月ほど経った後、なんと待っていた数社を飛び越え、先に書籍を作らせてもらえることになったのです。

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