三菱重工とIHI、ターボ事業が大繁忙の理由

自動車の燃費規制を背景に需要が急拡大

環境規制が厳しい欧州では、2000年代に入って、燃費のいいディーゼルエンジン車が急速に普及。ただ、ディーゼルエンジンは同じ排気量のガソリンエンジンよりもパワーが出にくいため、それを増強するターボの搭載が常識になった。

そして、ここにきて需要が急拡大しているのが、ガソリン車用だ。日本ではハイブリッド車ばかりが注目されがちだが、海外では燃費改善策として、ガソリンエンジンのダウンサイジング(排気量を下げて小型・軽量化すること)とターボ装着の組み合わせが大きなトレンドになっている。単にエンジンを小さくするだけでは出力も落ちる。そこで、ターボの装着が相次いでいるわけだ。

ガソリン車エンジンのダウンサイジングで先頭を走るのが、VWやBMWをはじめとする欧州自動車メーカー。そのお膝元の欧州では、ターボ搭載ガソリン車の台数がすでに年間500万台を突破した。

同様の自動車燃費規制は欧州以外の地域でも課せられているため、今後は米国や中国でもターボ搭載ガソリン車の比率上昇が確実視される。「2020年までに自動車ターボの年間需要は5000万台を超える」(IHIの古川弘執行役員・車両過給機セクター長)とも予想されている。

世界市場を日米4社が寡占

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ターボチャージャーの開発・製造には、高度な設計・生産技術とさまざまなノウハウが求められる(写真は三菱重工の製品断面模型)

こうした需要の拡大は、日本の重工2社にとって強力な追い風だ。

自動車用ターボは、米ボルグワーナーと米ハネウェル、三菱重工、IHIの4社で市場の9割以上を寡占。以前は米系2社で6割以上のシェアを占めていたが、日系2社が徐々に勢力を増し、現在は4社ともシェア2割台でほぼ拮抗している。

メーカーが限られるのは、高度な設計・生産技術とさまざまなノウハウが要求されるからだ。ターボは、排気ガスで小さな羽根車(タービン)を回し、排気ガスのエネルギーを軸の回転力に変換。これによって、軸の反対側に装着されたコンプレッサーが高速で回転し、外から取り込んだ空気を圧縮してエンジンのシリンダー内に送り込む。

排気ガスの当たる部分は温度が1000度近いうえ、タービン・コンプレサーの回転数は1分間に20万を超す。したがって、高い耐久性や精度、騒音抑制技術などが求められ、技術的な参入障壁は高い。市場の成長性に目をつけた自動車部品世界大手の独ボッシュ、独コンチネンタルが近年、相次ぎビジネス参入したが、現時点ではまだ日米4強を脅かす存在にはなっていない。

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