三菱重工とIHI、ターボ事業が大繁忙の理由 自動車の燃費規制を背景に需要が急拡大

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ガソリン車への搭載で需要が増え、日系2社のターボ事業は当面、右肩上がりの成長が続く。「ターボはエンジンとセットで開発が進むため、サプライヤーに選定されてから実際の納入開始まで3年前後かかる」(三菱重工の梶野武・ターボSBU長)。逆にいえば、確定済みの商談がどれだけあるかで、2~3年先の生産・販売台数が見通せる事業だ。

供給拡大へ設備増強を急ぐ

三菱重工では「北米や中国市場向けを中心に、大きなプロジェクトが複数決まっている」(梶野SBU長)という。2014年度の販売台数見込み630万台に対し、2015年度は800万台、2016年度には年間1000万台の大台に乗る見込み。

プロジェクトの具体的な中身は非開示だが、VWなど欧州自動車メーカーのほか、北米や中国用に複数車種でターボ搭載を予定する米大手自動車メーカーからの受注が相当量に上る模様だ。

そうした供給拡大に向けた設備拡張も進めており、基幹部品となるカートリッジ(タービン・軸・コンプレッサーの結合モジュール品)の生産を担うタイ工場を段階的に増強。合わせて、米国のカーエアコン工場内に初のターボ最終組立ラインを新設し、2015年度前半から本格量産を開始する。中国でも現地で3つめとなる最終組立工場の立ち上げを準備中で、「早期に世界シェアで首位に立つ」(梶野SBU長)と鼻息が荒い。

IHIも今後の成長の牽引役は北米、中国市場向け。アウディやVW、ダイムラーなど欧州自動車メーカーを中心に複数のプロジェクトがあり、2016年度にはターボ事業の売上高が2000億円前後にまで増える見込み。2014~16年度の3カ年で増産投資を中心に総額250億円以上を投じる計画で、欧州や中国、北米などの能力増強に加え、国内の研究開発設備や基幹部品の生産設備を大幅に増強する計画だ。

2014年度の全社売上高に占めるターボ事業の構成比は、IHIが12%弱、三菱重工では4%弱。会社全体の規模からするとまだ小さいながら、「これだけの成長分野はそうあるものではない。今後が非常に楽しみな事業だ」と、三菱重工の野島龍彦CFOは語る。重厚長大分野が主力の重工2社にとって、小型量産品の自動車ターボは異質な事業だが、その成長性ゆえに大きな期待が集まる。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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