「アップルウォッチ」使う子が増える意外な背景 アメリカで親が子どもに買う例が増えている

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アップルウオッチ
アメリカでは、親が子どもにスマホではなく、スマートウォッチを買い与える例が増えているという(写真:Chona Kasinger/The New York Times)

フロリアン・ファンゴアは約1年にわたりApple Watch(アップルウォッチ)SEをギフトとして購入するか悩んできた。279ドルもするスマートウォッチ(日本では4万800円から)だが、贈った相手がすぐに壊したりなくしたりするのではないかと心配だったのだ。そして5月、ファンゴアは、購入するメリットが費用を上回ると判断し、このガジェットを購入した。

アップルウォッチは、彼の8歳の息子、フェリックスに贈られた。

大人よりも高い普及率

ファンゴアは、シアトルを拠点とする47歳のプロダクトデザイナーだ。テクノロジーが子どもたちの生活に侵入してきている現状に悲観的になっている人が多いことは知っていた。ただ、「アップルウォッチという枠の中なら怖いとは思わない」とファンゴアは話す。「息子にはいろいろ試してほしいと思っている」。

3年生に進級するフェリックスは、本当はスマートフォンが欲しかったと言う。

「だけど、この時計もすごく、すごく良いよ」

アメリカでは、5歳児という小さな子どもにまでアップルウォッチを買い与えて着用させる親が増えている。スマホを持つには幼すぎる子どもに対し、一時しのぎの策としてアップルウォッチを使わせているのだ。

アップルウォッチにはiPhone(アイフォーン)なしでも単独でモバイル通信できるセルラーモデルがあるため、これを選べば親は子どもに連絡したり、子どもの居場所を確かめたりできる。また、画面が小さいので子どもがインターネット中毒になる危険も抑えられる。

ティーンエージャーを含む子どもは、スマートウォッチ市場の中でもとくに重要な存在となっている。投資銀行のパイパー・サンドラーが2020年に行ったアメリカのティーンエージャーを対象とする調査では、31%がスマートウォッチを持っていると回答した。これに対し、同じ年にスマートウォッチを持っていると回答した成人は、ピュー研究所の調査によると21%にとどまった。

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