「アップルウォッチ」使う子が増える意外な背景 アメリカで親が子どもに買う例が増えている
そこで、メリーランド州ハント・バレーの自宅周辺をもっと自由に動き回れるようにと「旧式の携帯電話」を探したのだが、見つけることができず、アップルウォッチで手を打つことになったのだという。
「10歳で(スマホという)パンドラの箱を与えることなく、連絡を取り合えるようにしたかった」とデシー。
アップルウォッチの購入にあたっては娘にある条件が付けられた。後々スマホを買ってもらいたかったら、アップルウォッチを自分で充電して定期的に着用し、親からの電話にはきちんと出て、親からショートメッセージが来たら即レスとは言わないまでも常識的な速度で返信すること、という条件だ。
アップルウォッチは「責任ある行動を引き出すニンジン」になった、とデシーは言う。
スマホを持つ時期を遅らせることは難しい
もっとも、スマートウォッチを持たせたからといって、スマホを持つ時期を遅らせられるとは限らない。ニューヨーク市に住むトッド・ゴラブとその妻は、息子のローナンが10歳のときにアップルウォッチSEを買い与えた。1人で外出するようになってきたころだった。
スマホに比べればアップルウォッチは壊したり、なくしたりする心配が少なかったし、ローナンが食べ物を買ったり、公共交通機関を利用したりするのにお財布機能を使うこともできた。
ところが昨年の秋、ローナンが12歳になり中学校に上がると、アイフォーンを買い与えることになった。というのは、学校の友達が全員、スマホを持っていたからだ。49歳のゴラブは、少なくともあと1年はスマホを持たせたくなかったが、ローナンが取り残されたと感じるのを恐れたという。
ローナンは今では、アップルウォッチの充電や着用を忘れることが多くなっている。アップルウォッチは、ゴラブに言わせると「ほとんど無意味」になってしまったそうだ。
(執筆:Kalley Huang記者、Brian X. Chen記者)
(C)2022 The New York Times
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