平気で「子どものやる気をそぐ親」5つのダメ発言 「自分でやってごらん」もかなりイマイチ

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(5)「やるべきことをやってから、ね」

言ったことのある親御さんは大変多いのではないでしょうか。

やるべきこととは勉強や宿題のことが多いのですが、とにかくそれらを終わらせてから、遊びなさいという趣旨の言葉がけです。

もちろんこの言葉がけをしても、子どもが素直に従っているのであれば問題ないと思いますが、大抵は嫌々ながら「やるべきこと」をやります。その結果、パフォーマンスが大きく落ち、10分で終わる作業が1時間もかかるというケースもあるとも聞いています。

食事で言えば、「嫌いなものは先に食べてしまいなさい。大好きなおかずは嫌いなものを食べてからにしなさい」と言っているようなものです。果たして楽しく食事ができるのか疑問です。

そこで、こう言い換えてみましょう。

「やるべきことをやってから」→「やりたいことを先にやってごらん」

子どもはかなり驚くと思います。そこで、すかさず「やらなければいけないことは後でやればいいよ。その時間は大丈夫だよね」と伝えておきます。

優先順位を話し合い、子どもに判断させる

しかし、「こんなことをしたら、やりたいことばかりで、やらなければならないことはやらなくなってしまいます」という声が親御さんから出てきます。確かにそのようなことが起こるかもしれません。その際は、次のような話し合いをします。

①先にやるべきことをやってから、やりたいことをやる

②やりたいことをやってから、やるべきことをやる

この2つのうちどちらが自分として望ましいかを話し合い、どちらにするかは、子どもが自分で判断します。

②で失敗してきていることは本人にもわかっているでしょうから、かなりの確率で①のほうをやってみたいと言うと思います。子どもが自主的に判断をして実行するわけですから、遂行する可能性は高いということです。

以上、子どもの意欲を減退させる5つのNGワードについてお話ししてきました。

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NGワードには、「子ども側の視点で考えず、親側の視点で見ている」という特徴があります。

親は立場的にどうしても、子どもを動かしたいと思いがちです。しかし、意欲的に行動するようになるためには、子どもの心が動かなければ体は動きません。つまり子ども側の視点に立った言葉が必要になるということです。

言葉のちょっとした使い方で、子どもは大きく変わることがあります。日常使う言葉を少し変えてみると、意外な発見もあると思います。ぜひ参考にしてみてください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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