妻の「借金800万円発覚」で夫が深く反省した理由 金融リテラシー高め夫に欠如していたある感覚

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例えば貯金意識が高い「貯まる系夫」と「貯まる系妻」が結婚したとする。最初はふたり共貯金に励んでいるが、結婚生活が5年、10年と続くうちに、一方が貯める人、他方が使う人となってしまう傾向があるという。随時、マネー会議を開催しながら、ふたりの考え方の格差を埋めていかないと、貯める同士の夫婦ではいられない。

妄信せずに、会話を重視する

我が家を振り返ってみよう。新婚時代は「貯まる系夫」と「貯めにくい系妻」だった。意識して話し合いができていれば、妻が「貯まる系妻」になる可能性はあった。

ところが、その部分をさぼったことから「貯まる系夫」と「貯まらない系妻」(いや、切り崩す系妻か)になっている。妻は僕に頼り切り、貯金意識がほぼない。差が開いた典型例だ。

僕が話し合いの意識を持てなかった原因に、自分の親をロールモデルにしたことがある。多くの人が自分の親を参考に、時に反面教師にしながら生きていく。僕の両親は「貯まる系夫」と「貯まる系妻」だ。教育費以外、財布のひもは常に固め。その息抜きとして、年1、2回の旅行はそこそこ奮発。投資はしないものの、節約ができる。高度経済成長期に自動車大手でサラリーマンをしていた父と主にパートの母だったが、家を2軒建てた。最初の家を手放さず、家賃収入をずっと得ている。

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19年5月の借金発覚前、僕は「貯まる系妻」と結婚したと妄信していた。しっかり者の母親の元に生まれた「貯まる系夫」が選んだ相手だ。妻も僕、父、母と同類と認識していた。

しかし、妻は別に節約志向ではなかった。単に本当に金欠だった。そして、お金があれば、いやなくても、欲しい物は買いたい女性だった。僕はわかっていなかった。

「貯めにくい系妻」だと最初から認識できていれば、僕ももっと違ったアプローチができたはずだ。

子どもたちは日に日に大きくなっていく。その分、食費、教育費の負担が高まる。長男が中学受験となれば、小学6年時の塾代がかさむ。横山さんへの取材時、同席した社員から「うちに来ますか?」と言われた。冗談として、みんなで笑ったが、実は「あり」の選択だ。

富岡 悠希 ジャーナリスト

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とみおか・ゆうき / Yuuki Tomioka

ジャーナリスト、ライター。1970年代、関東生まれのポスト団塊ジュニア。大学卒業後、就職氷河期時代に某報道機関に入社。記者として社会、経済、国際分野などを約20年多方面に取材する。その後、ネットメディアに執筆の主舞台を移し、雑誌のライター業も。夫婦や家族のほか、貧困、ネットの誹謗中傷問題などにも関心を寄せている。「一筆入魂」をモットーとして、目線の低い取材を心がけている。

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