妻の「借金800万円発覚」で夫が深く反省した理由 金融リテラシー高め夫に欠如していたある感覚
夫婦喧嘩を文字で再現するのはしんどかった。一部は、ICレコーダーで記録しているので聞き直した。文章の下地とするテープ起こしを始めても、キーボードを打つ手が進まない。妻の罵声も、それに対する僕の返しも、礼儀も節度もない。「大好きだよ」と言い合った同じふたりが、発している言葉とは信じがたい。
深夜のディスプレイがにじんで見え、僕は情けなさで嗚咽をもらす。借金問題以降の3年を記す間、毎晩のように涙を流した。それでも少しずつ書き進め、その日の区切りまで来ると、ウイスキーの水割りで脳を麻痺させベッドに向かう。時に睡眠導入剤に頼ったこともある。一日でも中断すると、心が折れてしまうのは間違いなかった。3カ月ほど、ともかく毎晩机に向かった。
そうして2021年夏前、僕の振り返り文章は10万字を超えた。妻への愛を確認すると同時に、僕ら夫婦が不仲になっている原因の過半は僕にあると思い至った。51%でも過半になるが、控えめに言っても7割、やはり8割は僕のせいだ。思考は柔軟性に欠け、コミュニケーションも不足しており、愛のフィルターで妻を正視できていなかった。僕は変わる必要があると気づいた。
4つの沼と、「家計再生コンサルタント」への問い
ここで、僕ら夫婦がからめとられている、4つの沼の存在を整理する。
僕は多くの人々の家計を「再生」してきた専門家に、まず話を聞くことにした。それが「家計再生コンサルタント」の横山光昭さんだ。
横山さんは、司法書士事務所勤務やファイナンシャル・プランナー(FP)としての知識、経験を生かし、08年に「株式会社マイエフピー」を設立。代表を務めながら、「現場屋」として2万4000件以上(22年6月末時点)の家計に関する相談を受けてきた。相談者のうち既婚者は8割で、そのうち9割以上が共働き。年齢では30~40代が最も多く、50代、20代と続く。再生実績や相談者の属性から見て、僕が「借金沼」へのアドバイスをもらうのに、これ以上ない人物だ。
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