ASUSの強みは「絶妙な製品投入タイミング」 創業会長が語った勝ち残りのための秘策

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ASUSのタブレットとスマートフォンを手にするジョニー・シー会長(撮影:梅谷秀司)
台湾ASUSのジョニー・シー会長は、たった4人から始まった同社を強いリーダーシップで牽引。1989年設立から四半世紀、同社の主力製品はパソコンの主要部品であるマザーボードとノートパソコンの生産でグローバル企業へと成長させた。
しかし昨今の市場情勢変化に対応するかのように、スマートフォンおよびタブレット端末の出荷を増やしている。昨年はパソコン2250万台に対してスマートフォン/タブレットの合計が1790万台。さらに年末商戦期だけに着目すると、パソコンが630万台に対してスマートフォン/タブレットは730万台と急伸している。
急速にその業態を変えてきているように見える。これまでテクノロジー製品トレンドの潮目を見事に読み切り、業界の波に乗ってきたシー会長は、現在のテクノロジー業界をどのように見ているのか、新製品発表のために来日した同氏に話を聞いた。

――スマートフォン、タブレットが登場後、消費者向けパソコン市場は大きく様変わりしました。ASUSもスマートフォン/タブレットの売り上げ比率が高まっていますが、業界の中においてどのような”立ち位置”を意識していますか。

ASUSはノートパソコンとマザーボードをコンシューマ向けに販売して成長した会社です。この業界で成功するには、業界のメガトレンド、すなわち大きな潮の流れを敏感に感じ取り、消費者がどんな製品を欲しているかを敏感に感じ取らねば生き残れません。

短期的な売り上げの増減だけを見て、狭い視野で経営をしているとあっという間に業界から消えてしまう。なぜなら、メガトレンドの動向にはそれぞれに明確な根拠があるからです。

今のメガトレンドとは?

――現時点は、どのようなメガトレンドの動きの中にあると考えていますか。

ボックス(パソコン)の中に価値が集約されていた頃は、パソコンそのものが、コンピューティングの中心でした。ところが、みなさんご存知の通り、コンピューティングの価値としては、その中心がクラウドの中に移り、すでに手元にあるコンピュータの箱の中にはありません。

すなわち、パソコンそのものが価値なのではなく、クラウドコンピューティングを活用するために存在する、人とクラウドの間をつなぐインターフェイスのひとつがパソコンということです。パーソナルコンピューティングにおいて、唯一無二の存在からクラウドにつながる多様な端末のひとつになったわけです。

そのようにメガトレンドを捉えれば、タブレットやスマートフォンがパソコンを越える勢いで伸びてきたことはもちろん、IoTといったさらに多様なモノがクラウドにつながっていくトレンドも、世の中の一連の動きであることが見えてきます。さらに今後は、クラウドに集まる多様な情報や処理能力を用いて、ロボティクス・コンピューティング(利用者が能動的に使わなくとも、自律的動作を行うコンピュータシステム)を活用したものへと発展していくでしょう。

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