ともあれ、日本と朝鮮半島南部(とくに伽耶と百済)との間では、何百年もの間、人の往来が盛んだったのは確かである。
「純ジャパ」も「純コリ」も存在しない
このような人口移動や交流の歴史を考えると、よく聞く「純ジャパニーズ」という概念が、空想の産物であることがわかるだろう。
これまで述べてきたように、日本人の多くは、縄文系と朝鮮半島や大陸系の混血であり、また混血の程度は地域によってさまざまに異なるのだ。
もちろん朝鮮半島の人々の祖先も、もとから朝鮮半島にいたはずはない。その先祖には、たとえば北方民族だけでなく、ヒマラヤ山脈南の南方ルートで東南アジアを経て、いまの中国北東部から朝鮮半島に移り住んだ人々もいる。
また、韓国人の遺伝子には中国人に近い遺伝子や、モンゴル人に近い遺伝子も入っている。私もお風呂に入るときに鏡を見ると、モンゴル人力士に実に似ている。
ちなみに、『Genome Biology and Evolution』に掲載されている論文「The Origin and Composition of Korean Ethnicity Analyzed by Ancient and Present-Day Genome Sequences」によれば、これらの混血は、朝鮮半島への移住前から起こっていたとされている。
これらの研究が示唆するのは、「どこどこの国の人は、もとはといえば何人などと、ひとつの源流に遡ることなど不可能」だという事実だ。
中国人やモンゴル人に関しても、結局のところ、みんなアフリカからさまざまなルートを辿って巡り合った人と交配して子孫を残してきた。
自国の祖先は進化論やアフリカ起源を無視して、天から降ってきたか地から湧いてきたとでも言い張らない限り、これは動かせない事実である。
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