「ガンダム」に安彦良和氏が描いたものとは? 「世の中のリアリティは崩せない」

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シャア・アズナブルが今回の映画の主役だ

たとえば“ニュータイプ”という言葉にしても、「人間って今のままじゃ駄目なんだよなあ」という、単なるメッセージの一つにすぎなかったのに、それが物語の中核として受け取られ、拡大解釈されて、作品自体がまったく違うものになってしまった。当事者として修正すべきだという気がしました。まさに“歴史”を語り継ぐという義務があると。

オリジナルのガンダムのストーリーは、子供向け勧善懲悪アニメのウソさ加減に飽きていた富野由悠季氏をはじめとしたスタッフたちが、「本当の世の中ってこうなんだ」というのを見せたいと思って作ったものです。表現はつたなくても内容はけっこうリアルだと自負している。それを伝えたいんです。

“リアル”を誤解されても困る。

──アニメにも増して描写がリアルです。

リアルといっても、そもそも宇宙植民地ということ自体が、実現しようにも経済的に成り立たない。だから絵的な表現なんかはウソばかりです。“リアル”を誤解されても困る。

──『ORIGIN』のストーリーには歴史漫画をたくさん描かれてきた蓄積も生かされていますか。

世の中はこうだというリアリティは崩せない。植民地が抱える問題とか、そこで生きる人のコンプレックスとか、自己充足の形とか、そういうことは歴史的に見ればみな同じ。それを知ることは兵器や技術や政治用語をマニアックにもてあそぶことよりも、ずっと大事なことです。

週刊東洋経済2011/1/22号「頼れる!読書術」より転載)

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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