神戸屋「包装パン事業撤退」示すパン業界の大変化 今後パン業界は「質か量か」の二極化が加速か
8月26日、神戸屋がスーパー・コンビニで売られる包装パンの製造販売事業と、同社子会社のデリカ食品の製造販売事業を山崎製パンに譲渡することを決めたと発表し、大きな反響を呼んでいる。
神戸屋は関西と首都圏を中心に、各地でベーカリーチェーンの「神戸屋キッチン」、ファミレスの「神戸屋レストラン」などの飲食店ブランドを展開してきた。今後はこうした、冷凍パン事業、およびフレッシュベーカリー・レストラン事業に専念するという。一方、山崎製パンは買収後、当面の間、従来通りのブランドのまま製造販売していくとしている。
収益は大手3社に遠く及ばず
神戸屋は製パン会社としては、1位の山崎製パン、2位のフジパングループ、3位のパスコブランドを擁する敷島製パンに続く4位の規模だが、2021年12月期の売上高は390億9700万円、営業利益は3億円と、売り上げ1000億円を超える上位3社には遠く及ばない。山崎製パンの同期売上高は1兆529億7200万円に上る。
今回の発表はもしかすると、量の拡大か質の追求か、製パン会社が二極化する時代の始まりを告げるゴングかもしれないが、背景にはパン業界を囲むいくつかの変化がある。
この10年余り、パンはずっとブームだった。本格派フランスパンを売る個人店が増え、高級食パン、コッペパンなどに特化したチェーン店ができた。コロナ前は各地でパンイベントが開かれ、好評を博した。冷凍パンのサブスクリプションサービス、パンのセレクトショップ、ロスパンの販売など、新しい販売スタイルを開拓する企業も登場している。
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