ADAS試験場は、高速周回路内の敷地に新設された。縦断方向500m、横断方向300mの直線路が直角に交わる部分を扇型としており、最高で「80km/h対60km/h」の交差点評価が可能だという。
当日は最新ADAS機器の展示のほか、ダミー車両などを使っての交差点を想定したデモ試験が公開され、多様なテストができる場であることが理解できた。
昔とは違い、今は多くのメーカーが自前のテストコースを持っている。その中でJARIがこのような施設を充実させていく必要はあるのか、疑問に思う人もいるだろう。しかし、会場で担当者にこの点を聞くと、現在でもメーカーとサプライヤーとでは、前者の需要が多いそうだ。
メーカーにはトラックやバスの車体製造会社なども含まれるので、多くの企業が属するうえに、メーカーのコースは市販車の車両開発がメインであり、「先進技術の先行開発は優先順位が低いのではないか」という答えが返ってきた。
対するサプライヤーは、近年の電動化や自動化などの流れの中で、自動車業界以外の会社の利用が多くなっているとのこと。新規参入企業も増えており、従来は顔を見せたことがないような会社が来るようになったという。
開かれた組織となり未来へ
個人的に会場で目を引いたのは、1/4マイル(約400m)の加速を競うドラッグレースのためのモーターサイクルの展示だった。
以前は東北地方でレースを行っていたが、東日本大震災などで開催が難しくなったところ、JARIが受諾してくれ、2021年からここで実施しているとのことだった。
かつては敷居の高い組織という印象もあったJARIだが、2012年に財団法人から一般財団法人に組織変更されたこともあり、開かれた場になりつつあることが確認できた。
100年に一度の大変革と言われる自動車業界では、新しい発想や技術を拒まず、積極的に受け入れたうえで、好ましい道筋を示すのが理想的ではないかと思っている。現在のJARIの運営は、その流れに合致していると感じた。
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