「喜多方ラーメン坂内」23区内出店を再開した勝算 バングラデシュ出身の亀有店店長の意気込み

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そこへコロナが襲来、さまざまなことを見直さざるをえなくなった。

180度の転換を迫られたのが接客のあり方だ。

喜多方ラーメンのスープを仕込む様子
スープは毎日店内で仕込む。豚骨をじっくりと炊き、旨味を引き出す(撮影:梅谷秀司)

これまで対面のフルサービスを重視してきたが、このたび、券売機やモバイルオーダーなど、非接触型の対応を取り入れた。感染対策として避けられない施策だったが、社内では懸念もあったそうだ。

焼豚を作る様子
焼豚も店内で一から手作り。できたての焼豚は格別にやわらかく、味も新鮮。ラーメンのトッピングにはなるべくできたてのものを使うようにしているそうだ(撮影:梅谷秀司)

というのも同チェーンは坂内食堂から受け継いだ、手作りとできたての味をコンセプトに掲げている。スープ、焼豚ともに日々店舗で仕込んでおり、それゆえ店によって味が違うことがあるのも、坂内らしさの1つだ。非接触型のサービスに切り換えることで、それらの強みが発揮しにくくなることを恐れたのだ。

「しかし、味を伝えていくにはまず生き残らなければなりません。店舗のオペレーションから客席レイアウト、宣伝戦略などすべてにおいて見直しを図りました」(上り濵氏)

効率性やデジタルの視点を取り入れたサービス

例えば券売機導入やモバイルオーダー対応もその1つだ。ビジネス立地の店では「事前会計」という方法も取り入れたそうだ。これは注文時に代金を先払いするやり方。アナログではあるが、ランチ時間帯などにレジが混み合うのを防止できる。

また従来型のカウンター+テーブル席の店舗レイアウトを見直し、カウンター席の多い店舗も検討している。ビジネス街などでは回転率のよさがより重視されるためもある。2022年11月にはカウンター席のみの店舗もオープン予定だという。

SNSによる発信やアプリ会員限定の企画など、これまで行っていなかったデジタルの販促も始めた。

つまり坂内食堂の味を伝えるためにあえてスタイルを守り続けてきた同社だが、コロナの社会状況にあって、効率性やデジタルという視点を取り入れたサービスへと、変化させてきているということだ。

当然ながら、デリバリーやテイクアウトへの対応、ECの物販などにも手を広げている。これらにより、チェーンの2020年、2021年の売り上げはコロナの影響で3割ダウンしたものの、2022年は昨年比110%とコロナ前に戻りつつあるそうだ。

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