「喜多方ラーメン坂内」23区内出店を再開した勝算 バングラデシュ出身の亀有店店長の意気込み

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期間限定の「すだちと炙り椎茸が香るさっぱり塩ラーメン」
期間限定の「すだちと炙り椎茸が香るさっぱり塩ラーメン」(970円)。すだちと椎茸の香りがさっぱりしたスープになじみ、麺の味を引き立てる。注文を受けてから椎茸を炙るので、いい香りが店内に漂う(撮影:梅谷秀司)

ランチ、ディナー時間帯は7〜8割、アイドルタイムも4割程度は客で埋まる。同チェーンでは亀有店オープンにあたり、2年ぶりの新メニューとして「すだちと炙り椎茸が香るさっぱり塩ラーメン」(970円)を発売。亀有店を含む3店舗では先行販売を行った。8月23日からは他店での提供も開始しており、夏季の季節限定メニューとして10月12日まで販売の予定だ。

同チェーンはラーメン店としては女性客が多く、男女比は6:4程度。しょうゆベースのさっぱりしたスープであるほか、期間限定メニューについてはとくに女性を意識して開発していることが大きい。

今回の新商品も、椎茸を炙って香ばしさを出し、さらにすだちを加えるなど、香りにポイントを置いた。水菜の緑が目にも爽やかで、「食べてみたい」と思う女性は多そうだ。

8月22日までの期間限定メニュー「青唐うま塩ラーメン・夏」
8月22日までの期間限定メニュー「青唐うま塩ラーメン・夏」(970円)。期間限定メニューとしてはトップクラスの人気で、とくに女性からの注文も多い。トマトを冬野菜に替えた冬バージョンもある(写真:麺食)

ただシラジュス氏によると、亀有店で扱いのない「青唐うま塩ラーメン・夏」(970円)を求めてくる客が多く、申し訳なく思っているそうだ。これは青唐辛子の辛さ、トマトも加わった酸味の夏限定商品で、期間限定メニューとしてはリピート率1位とのこと。「すだちと炙り〜」ラーメンをテスト的に先行販売したことや、オペレーションの軽減のため亀有店では残念ながら扱っていない。この人気メニューの扱いがないことは、亀有店にとって少し不利かもしれない。

アルコール需要を見込んだ店舗限定メニュー

「焼豚コロッケ」
 昼飲みの聖地でアルコールが好調な亀有店ではサイドメニューの充実も図っている。写真はテスト販売している「焼豚コロッケ」。喜多方ラーメン自慢の焼豚を細かくして具材に加えた(撮影:梅谷秀司)

亀有店ではそのほかアルコール需要の高さを見込み、店舗限定メニューとして「焼豚コロッケ」をテスト的に販売している。人気商品の焼豚を使ったコロッケで、ジューシーな焼豚がコロッケの具材に溶け込み、不思議な食感、味わいとなった一品だ。なかなか好評のようで、多いときで日に10皿ほど注文がある。今回はテスト的な販売だが、今後はフライヤーを設置した広めの店舗を対象に販売を広げていく予定だ。

以上のように、今回の亀有店オープンにあたっては、老舗ラーメンチェーンがコロナという大きな変化により、模索しつつ成長を目指す様子を垣間見ることができた。

今後は物価や人件費の高騰といった課題も加わり、経営環境はさらに厳しくなっていく。手作り、対面のサービスという強みを生かしながら、デジタルをうまく取り入れ、生産性向上を図っていくことが今後のチェーンの課題となるだろう。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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