2月17から18日に日銀金融政策決定会合が開催され、会合終了後、黒田総裁の記者会見が行われた。半日おいて、米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月27-28日開催分のFOMC議事要旨を18日(米国時間)に公表した。
なぜマーケットは日米の金融政策を無視したのか
株式市場は、どちらも無視した。為替と金利は若干動いたが、すぐに元に戻った。要は、金融市場は、全く関心がなかったのである。これは当然である。なぜなら、金融政策には誰も関心がないからである。
それにもかかわらず、事前には、「黒田総裁の会見待ち」「FOMCの議事録待ち」という市場の声がある、といったものが報道された。
これは、何かの間違いか。ポジショントーク?いや、ポジショントークにもならない。「聞かれたから、一応そう答えた」、という類いのものだろう。今や、中央銀行の政策にまじめに注目する人は誰もいない。
何かが起きているのだろうか。
何も起きていない。実体経済が順調なので、何も起こりようがないのだ。
ここ数年、金融市場の役割が低下してきたが、さらにそれが進み、幅広いコンセンサスとなって、正々堂々と金融市場が無視されるようになったのである。
これは、一般の認識と違うかもしれない。金融政策と中央銀行総裁が、世間で、いや世界で注目されたことはこれまでの歴史上はなかった、といっても過言ではない。言い過ぎても言い過ぎることはないぐらい、この5年は、金融政策と中央銀行が、世の中の議論を席巻した。
しかし、実は、金融政策と中央銀行に席巻されたのは、金融市場と、それにそそのかされたメディアだけだった。
確かに、金融市場は、すべて金融政策頼みだった。他に良いことは一つもなかったからであり、バブル崩壊での敗戦処理後、当面稼ぐ手段は、金融政策による買い付け、つまり、暴落した金融資産を安く買い、金融政策と称する「資産買い取り政策」に頼って、中央銀行などに高く買ってもらうことだけで生き延びてきたのだ。
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