原因は「首に負担がかかる姿勢を長く続ける」ことにある。頭を支える後頭部や首の筋肉が緊張して血流が悪くなると、神経が徐々に変化して刺激に過敏となり、その結果、痛みが出るのだ。長時間のパソコン作業をしている人によく見られることから、現代病の1つといえるだろう。
最近では、精神的なストレスも発症に関係していることがわかっている。緊張して首や肩に力が入ると血管が収縮する。これが緊張型頭痛のきっかけになる。
頭痛持ちの人のなかには、鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)で対処している人もいるだろう。
「非ステロイド性抗炎症薬は、炎症の元になるプロスタグランジンという物質を抑えて、痛みをとっていきます。非ステロイド性抗炎症薬にはさまざまな種類があります。作用だけでなく、副作用のことも考えて、安易な使用は避けましょう」(小林医師)
そもそも緊張性頭痛は二次性頭痛というほかの病気が原因で起こる頭痛によく似ているので、医療機関で診療を受けたうえで薬を服用するのが望ましく、自己診断による鎮痛薬の服用は勧められない。
薬の常用で別の頭痛が起こることも
鎮痛薬は飲んだら比較的すぐに痛みをとってくれるが、一方で薬に頼りすぎなのも、危険だ。常用することで、肝臓や腎臓にも負担がかかり、薬が原因による薬物性頭痛が起こる可能性もある。
むしろ、こうした薬物療法などで思うような改善が見られないときに試したいのが、ペインクリニックでの治療だ。
前回の記事(【つらい痛み】鎮痛薬が効かない時にすべきこと)でも触れたが、ペインクリニックで行っているのは、痛みの原因となっている神経、あるいはその周辺を探り当てて、そこに注射針を刺し、局所麻酔薬などを注入することで、痛みの信号が脳に行くのをブロックするという治療法だ。
「緊張型頭痛には、頭痛の引き金となっている首のうしろや頭、肩甲骨の周囲などのこった筋肉に針を刺して、局所麻酔薬を注入し、血流を改善する“トリガーポイント注射”が有効とされています。飲み薬と違って、痛みがある部分に狙い撃ちができるので、強い鎮痛効果が得られます」(小林医師)
トリガーポイント注射であれば、どこのペインクリニックでも行うことが可能だが、慢性的な頭痛だと専門的な治療が必要になってくる。
「神経ブロックには数十種類もあり、超音波やレントゲン透視(画像で状態を確認)を使わないとできないブロックもあります。大学病院のような大きな施設ではこれらの装置を駆使しながら、頭痛の原因となっている神経を探り出して、トリガーポイントよりももっと深い場所に神経ブロックを行っていくことが多いです」(小林医師)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら