「70代で元気な人・介護必要な人」50代の過ごし方 70代を健やかに過ごすために必要なのは「貯筋」

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できるなら最後の最後まで誰の世話にもならずに日常生活を送りたい、というのが誰にとっても切なる思いでしょう。どうすれば、それが可能になるのでしょうか。

厚生労働省が公表している「平成28年 国民生活基礎調査の概況」には、「要介護度別にみた介護が必要となった主な原因」が記されています。

それによると、要支援の主な原因は関節疾患であり、要介護の主な原因は認知症や脳卒中です。要するに、最後までピンピン楽しみ、ゴールするためには、関節を痛めず、骨折や転倒などをしないようにし、脳卒中や認知症にならないようにすればいいのです。

(出所:『70歳すぎても歩ける体になる!』)

筋力は40代から衰えていく

関節疾患や脳卒中、認知症などにならないためには、ストレッチングや筋力トレーニングをしてしっかり体を動かすことが重要になります。筋は20代までに爆発的に成長します。この成長期ともいうべき時期は、さまざまな臓器が成熟していきますが、筋も同様で、使えば使うほど筋量は増えていきます。

しかし、40代になるともうあまり成長しません。次第に代謝、つまり血液の循環は減り、骨も痩やせていくからです。たとえ若いときにつけた筋力が高くても、その後、運動習慣がなくなれば筋力は次第に低下します。関節や体をあまり使わない状態が続くと、筋は次第に痩せていきます。

若いときにつけた筋を“貯筋”などといいますが、「いつまでもあると思うな、親と貯筋」というわけです。逆に、若いときにあまり運動をしていなくても、ある程度年を取ってから運動をしたらそのぶん筋力は強くなります。がんばりようによっては、いつからでも貯筋は可能なのです。

筋線維は大きく分けて「速筋」と「遅筋」の2つがあります。

速筋はすばやく収縮できる筋肉です。短距離走やウエイトリフティングなど瞬間的に強い力が求められる動きで使われます。瞬発力はありますが、持久力には乏しく疲労しやすい筋肉です。一方、遅筋は、ゆっくり収縮する筋肉です。速筋とは真逆で、長距離走など持久力が求められる場面で使われる、疲労しにくい筋肉です。当然、両者の鍛え方は違ってきます。速筋は大きな負荷を短時間(少ない回数)かけること、遅筋は小さな負荷を長時間(継続して)かけることが鍛えるポイントになります。

次ページ「遅筋」をどう鍛えるかで、残りの人生が大きく変わる
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