フリーのアマゾン配達員「労働組合」結成の理由 どんなに働いても残業代もガソリン代も出ない

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「労働政策研究・研修機構」統括研究員の呉学殊(オウハクスウ)さんは、こう話す。

「本来、取引において依頼する側と依頼を受ける側は対等でなければいけません。しかし、実態は依頼をする側の立場が強く、その『優越的地位』を使い、依頼を受ける側が不当な契約で仕事をせざるをえない状況になっています」

セーフティーネットや保護法の制定などが必要

韓国の労働問題に詳しい呉さんによれば、韓国でも個人事業主が増える中、雇用のセーフティーネットとして「全国民雇用保険制度」が導入され、芸能従事者や配達ドライバーなどの個人事業主に雇用保険が適用されている。さらに韓国では、個人事業主が労働組合をつくれば、企業は産業の発展につながるとして組合との団交にも応じているという。

今回、アマゾン側がアマゾン配達員組合横須賀支部の団交を拒否している点について、呉さんは次のように話す。

「労働組合は、働き手の声を会社に伝える、会社発展のためになる経営資源です。労働者性があるかどうかは別にして、配達ドライバーの声を吸い上げることは産業の発展につながります。それを労働者ではないからとして、門前払いする対応は産業の発展につながりません」

多様で自由な働き方の拡大とともに、フリーランスは増えていくとみられる。呉さんは言う。

「たとえば、フリーランス保護法のような法律を制定したり、労働者性の判断基準を緩めたりして、労災保険や雇用保険など安心して働ける最低限の保護を行うなど、フリーランスが安心して働くことができる環境をつくることが重要です」

(編集部・野村昌二)

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