フリーのアマゾン配達員「労働組合」結成の理由 どんなに働いても残業代もガソリン代も出ない

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男性は同じ配送センターで働く配達ドライバーたちに労働組合の結成を呼びかけた。今年6月、同じ思いを持つ10人ほどで「アマゾン配達員組合横須賀支部」を結成。アマゾンと下請け会社に働き方の改善を求めている。

それぞれのドライバーはアマゾンと直接の契約関係はない。だが、アプリなどを通し働き方の指揮命令を受けていることからアマゾンに「使用者」としての責任があると組合は主張している。男性は言う。

「僕たちドライバーは倒れそうになりながら毎日12、13時間働いている。しかし、どんなに働いても残業代もガソリン代も出ない。個人事業主であるドライバーを社員のように使っているのであれば、労働者として契約するべきです」

後を絶たないフリーランスを巡るトラブル

アマゾン配達員組合横須賀支部の50代男性ドライバーの配送車(写真:本人提供)

男性が加入する「東京ユニオン」副執行委員長の関口達矢さんは、ユニオンには全国のアマゾンの配達ドライバーから同様の相談が寄せられているとしてこう話す。

「アマゾンからのAIアプリなどを通じた労働時間の管理や指揮命令の仕方も含め、明らかに労働基準法上の労働者に該当すると見ています」

いま、会社に雇われないフリーランスとして働く人が増えている。単発で業務委託などを結んで仕事を受ける、「ギグワーク」と呼ばれる仕事も広がる。働く側にとってはスキルや経験を生かし柔軟な働き方ができるなどメリットがあり、企業にとっても安価な労働力を確保するため個人事業主に委託するケースが目立つ。政府は、フリーランスで働く人数は約462万人(2020年)と、日本の労働者人口の7%近くを占めると推計する。

だが、「フリー」とは名ばかりで、会社員に近い働き方をしている人は少なくない。内閣官房が2020年に行った「フリーランス実態調査」では、フリーランスの3234人のうちの約37%が「業務の内容や遂行方法について具体的な指示を受けている」と答え、約10%が「具体的な仕事の依頼、業務従事の指示を断ることができない」と回答した。

そうしたことから、フリーランスをめぐるトラブルも後を絶たない。

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