フリーのアマゾン配達員「労働組合」結成の理由 どんなに働いても残業代もガソリン代も出ない

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第二東京弁護士会が厚生労働省から受託し2020年11月に開設した「フリーランス・トラブル110番」には、毎月600件近い相談が全国から寄せられる。業種別では運送関連とウェブ制作を含むインターネット関係が最も多い。相談では「報酬未払い」が最も多いが、「辞めたくても辞めさせてくれない」「発注者が勝手に報酬を減額する」事例も少なくないという。相談を受ける山田康成弁護士は言う。

「配達ドライバーの方には、自分から望んだわけではなく、結果的にフリーランスという働き方を選ばざるをえなくなった方もおり、問題に直面する人が多くなっています」

配達ドライバーのトラブルで争点となるのが「労働者性」だ。どのような場合にフリーランスに労働者性が認められるのか。

時間の管理がポイント

山田弁護士によれば、1985年に労働省(現・厚労省)の労働基準法研究会が示した「労働基準法研究会報告」の内容が、裁判においても一般的な解釈として踏襲されているという。

「いちばんのポイントは時間の管理です。例えばフリーランスの人は、会社員のように『遅刻』や『早退』があるわけではなく、時間を管理されていません。しかし、朝から晩まで業務があり、仕事の発注者のために拘束され働き続けなければならない実態がある場合には、『労働者』に近づいていくと思います。さらに、発注者から業務の指揮・監督を受けているかなどを総合的に判断し、労働者性が認められるかどうか決まります」(山田弁護士)

アマゾン配達員組合横須賀支部は7月、下請け会社と団体交渉に入った。だが、アマゾンは団交を拒否しているという。

今回の問題についてアマゾンジャパンは、本誌の取材に次のように回答した。

「今回、アマゾンに書面を提出したドライバーの方々はアマゾンの委託先配送業者のもとで配送業務を行っており、アマゾンの従業員ではありません。委託先配送業者に対しては安全な働く環境を整えること、関連法規やアマゾンの基準を遵守(じゅんしゅ)することを求めています。アマゾンの基準などを遵守していないことが確認された場合は、適切に対処いたします」

アマゾンが導入したAIアプリを通し、配達ドライバーは働き方の指揮命令を受けているという組合の主張については、

「アプリの利用は必須ではありません」

とし、AIアプリによって荷量が一気に増えたとされる点については、

「現在、とくにお伝えできることはございません」

と回答。組合との団交を拒否した理由については、

「(配達ドライバーは)アマゾンの従業員ではありません」

などと答えた。

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