ジム・ロジャーズ「今から『日本終了』に備えよ」 何もしないと日本人の年金は目減りする一方だ

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先進国の政府や中央銀行は必死になって危機を封じ込めようとしている。これからうまく行ったように見える瞬間があるかもしれない。だがロジャーズ氏は「最悪の結末が待っている」と言う(写真:Luxpho (Takao Hara))

シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。引き続き、『世界大異変 現実を直視し、どう行動するか』から日本人のための資産防衛術をお伝えします。

2040年の出生数は70万人、70歳を迎える人は200万人

『世界大異変:現実を直視し、どう行動するか』(東洋経済新報社、7月22日発売)。書影をクリックするとAmazonのサイトの購入ページにジャンプします。

ジム・ロジャーズ氏は「このままでは20年後の『日本終了』が現実になる」と警告しますが、それはどういうことなのでしょうか。

「人口推計はあらゆる将来予測の中で、もっとも精度が高い予測と言われる。日本の国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2021年に生まれた日本の子供の数(出生数)は、約81万1000人で、前年より3万人減少している。2040年には出生数は70万人前後にまで落ち込む見通しだ」

「その一方で、2040年に70歳になる1970年生まれの人は約200万人もいる。その頃には、70歳は高齢者に区別されていないかもしれないが、このまま現行の社会保障制度が維持できるとは思えない。これは私の意見や感想ではなく、数字が示す事実なのだ」

現在、日本の公的医療保険制度は世界一充実しているとも言われています。アメリカやシンガポールなどは医療費が高額なことで知られていますが、例えば、少し前にシンガポールで難病になった外国人ヘルパーの医療費の請求が18万シンガポールドル(約1800万円)にもなったというニュースを見かけるほどなのです。

どうしてここまで違うのでしょうか。日本では外国人労働者も条件を満たせば日本人と同様に社会保険に加入をすることができます。しかし、シンガポールでは外国人労働者は自分で民間医療保険を購入して高額な医療費に備える必要があるのです。日本のような高額療養費制度もありません。そのため、総額の医療費が数千万円に及ぶ場合もあります。一方で、国民に対しては助成があるために公立病院の医療費負担は緩和されています。

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