ジム・ロジャーズ「今から『日本終了』に備えよ」 何もしないと日本人の年金は目減りする一方だ
しかし、利用する側からすると素晴らしい日本の医療制度ですが、国民医療費は財政を圧迫しています。
令和元年(2019年)度の国民医療費は44兆3895億円(保険診療の対象とならない費用や、正常な妊娠・分娩、健康診断、予防接種など、傷病の治療以外の費用は含まない)と、前年度に比べ9946億円、2.3%の増加となりました。
医療費は毎年約1兆円ずつ増え続けており、このままだと2040年には67兆円になるとの予測もあるほどです。今のところ、財源別の国民医療費は公費負担が約4割、保険料からが約5割、患者負担が約1割ですが、国が医療費負担をまかないきれなくなれば将来的にシンガポールのように患者負担が増えるリスクもあります。
ロジャーズ氏は「月まで届きそうなほどの債務額」の増大、世界一のスピードで進む少子高齢化、保護主義(移民を受け入れない、存在価値が薄れた「ゾンビ企業」を延命させる、規制緩和をしない)等が20年後に日本を滅ぼすと言います。
また、深刻な危機の影響を一番受けるのは中流階級です。「仕事もお金も失い、子供の教育機会も失ってしまうリスクが高い」と指摘します。日本人の多くは人生で繁栄と平和しか経験をしていませんが、10年後にはその状況が変わり、20~30年後には日本終了のリスクが高まるだろうと言うのです。
「円建ての年金」は将来大幅に目減りする危険がある
さらに、ロジャーズ氏はもし額面通り年金がもらえたとしても、インフレと円安で実質的な価値が大きく目減りするリスクがあると警告をします。
現在、夫婦でもらえる標準的な年金額は月22万円程度ですが、アメリカでは標準的なサイズのカップ麺が約600円、スイスでビックマックセットを注文すると約1700円という記事が話題になっています。日本だけ物価が少し抑えられていたとしても、外に出れば円の価値の目減りを痛感することになるのです。日本でほそぼそと生活をすることはできるかもしれませんが、海外旅行に行くことが以前と比べて難しくなるでしょう。
「歴史上、財政赤字で窮地に陥った国はたくさんあるが、いずれもきちんと返済できた例はない。ブルボン朝時代のフランス、20世紀の2度における大戦間期のドイツ、戦後の日本、最近では財政破綻した旧ソ連がそうだ。みな猛烈なインフレに襲われ、国民の資産価値は大きく失われることになった」
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