「国語力」がある子とない子の「家庭」の決定的な差 なぜ子どもの「国語力格差」は生まれるのか
今はクラスの中で子どもたちの国語力は格差によってかなりの違いがあり、「国語力のカースト」という状況が生まれています。しかし、子どもたちの国語力をアップさせ、その差を埋めることは可能です。
本書に登場する心理学者の今井むつみさんが、幼児教育で重視するものの1つに、「自由な遊び」があります。
大人が決めつけた遊びを押し付けるのはNG
今井さんは、知育のような大人が決めた目的ありきの遊びではなく、子どもたちが自発的に集まって創り出した遊びこそが大切だといいます。そうした遊びの中でこそ子どもは意欲を持ち、自然からあらゆることを感じ取り、想像力や共感力を磨き上げていく。大人の役割とは、大人が決めた遊びを押し付けるのではなく、子どもが自由に集って遊べる時間と空間をつくることなのです。
一方、家庭の中では、親の使う言葉、つまり親の語り掛けが重要になります。
たとえば、子どもがミスをしたとしましょう。このときに親が頭ごなしに「なんでこんなことをしたのか!」と叱りつけるのと、「どうしてこうなったんだろうね。一緒に考えてみようか」と問い掛けるのとでは、子どもにどのような違いが現れるでしょうか。
前者であれば、子どもは萎縮して思考を停止させるでしょう。後者だと、子どもはじっくりと自分のしたことを考え、それに対する意見を出します。
1日に1回でも親が意識して問い掛けをしていれば、子どもは3~5歳だけで1000回以上もこうした思考の訓練をすることになる。小学校に入ったとき、これが「考える子」と「考えない子」の差につながるのです。
また、子どもには勉強を強いるより、家庭環境を豊かにしたり、新しい体験や価値観を自然に伝えたりするほうが、国語力を伸ばすのに有利だという統計もあります。
図を見てください。親が毎日子どもに勉強を強いても、国語の成績は伸びていません。
他方、「家に本がたくさんある」を筆頭に、「絵本の読み聞かせをする」「外国文化に触れるように意識する」「博物館や美術館へ連れていく」家庭では、そうでない家庭と比べて国語力に顕著な有意差があります。
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