水泳を習うと子どもの「自己肯定感」が高まる理由 親の関わり方次第で子どもの成功体験に変化

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私は、仲間のインストラクターにも同様のことを伝えています。「よくやったね」と普段のテンションで褒めるだけでは、大きな成功体験につながらない可能性があるからです。

普段通りに褒めるだけでは、子どもは「友達も25m泳げてるし、普通のことなのかな?」と感じるかもしれません。これでは、自己肯定感が急成長するせっかくのチャンスを逃してしまいます。

私は「うわー! よく25m泳げたね! 先生もめっちゃ嬉しいよ!」といった言葉で、表情を大きく使い褒めるようにしています。

自分の成し遂げた結果で他の人も喜んでくれたら、成功体験として心に残りやすく、自己肯定感の大きな成長にもつながるからです。

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大人の演出次第で、子どもの今後の人生に影響を与えると考えると、大げさに褒めることを恥ずかしいなどと感じてはいられません。

また、物心ついた後「できなかったことが、できるようになる」という体験は、意外に稀有です。「自転車に乗れるようになった」「25m泳げるようになった」「逆上がりができるようになった」くらいではないでしょうか。

私は小学校1年生で初めて逆上がりができた日と、小学校2年生で初めて25m泳げた瞬間は、今でも鮮明に思い出せるくらい、ぼくの成功体験として心に刻まれています。

このときばかりは、ぜひ、頑張った結果を大いに褒め、一緒に喜んであげてください。

菅原 優 水泳教育者

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すがわら ゆう / Yuu Sugawara

水泳教育者。Swimmy(株)代表取締役。1987年、広島県生まれ。東京学芸大学教育学部生涯スポーツ専攻卒業。「水泳は子どもの生きる力を育む」をテーマに、14年間水泳指導を行う。スポーツ庁委託事業やクラウドファンディングにて、発達障がい児を対象とした水泳教室を開催。同時に東京学芸大学と発達障がい児の水泳に関する共同研究を実施する。映画『流浪の月』で水泳指導を担当。NHK大河ドラマ『いだてん』に出演するなど俳優としても活躍。NPO法人スーパーダディ協会に所属する、1児のパパでもある。著書に『子どもに必要な能力はすべて水泳で身につく』(かんき出版)がある。

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